日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
デンマーク戦での勝機、見つけたり!
日本に「ジャブラニ」の“祝杯”を。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Nakanishi/JMPA
posted2010/06/24 10:30
「ジャブラニ」慣れした日本の枠内シュート率は5割超。
岡田ジャパンも、オランダ戦でボールの影響を受けた。しかしながら他チームほど「ジャブラニ」を苦にしているようには見えない。それを証拠に初戦のカメルーン戦では5本のシュートすべてが枠内シュートであった。守備においても失点はオランダ戦のみ。Jリーグの今年の公式球であることや、日本代表でも1月の指宿キャンプから導入したことがプラスに働いていると思われる。
オランダ戦では10本放ったシュートのうち枠内は3本しかなかった。だが、2試合トータルなら枠内率は5割を超える。データだけ見るなら悲観する数字ではない。
第3戦の相手となるデンマークは、2試合で23本放ったシュートのうち枠内は9本(オランダ戦10本中3本、カメルーン戦13本中6本)。日本と同じ相手に対して、率にすると4割に届かない。日本以上にボールの扱いに苦しんでいることがデータからうかがえる。
面白いデータは他にもある。
デンマークの被シュート数はオランダから18本、カメルーンから23本と何と2試合で41本も打たれているのだ。堅守で鳴らすデンマークなのだが、シュートを打たせてくれないわけではない。2試合で20本しか打たれていない日本と比べると、その戦いぶりが安定しているとは決して言えない。
たかがデータ、されどデータである。
フィジカルで優るデンマークに“穴熊戦法”は通用しない。
さて、話をデンマーク戦に移していこう。
日本はデンマークに引き分け以上でグループリーグ突破が決まる。格上のデンマークを相手に勝利はもとより引き分けに持ち込むのは至難の業だが、相手の不安定な戦いぶりをデータが証明している以上、つけ入る隙はある。
相手は勝ち点3を得るしか突破の道がない。それだけに、ある程度は前がかりにやってくる。では日本は引いて“穴熊戦法”で守ればいいのかと言えばそうではあるまい。フィジカルの差を考えれば、90分間、サンドバッグになってしまうと、おそらく耐え切れない。1トップのベントナーに押し込まれてラインを下げることになれば、ピンチに陥るのは火を見るより明らかだ。