スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
健闘オリオールズと逆襲アスレティックス。
~伏兵はプレーオフで輝けるか?~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2012/10/05 10:31
驚異的な追い込みを見せ、最終戦で地区優勝を決めたアスレティックス。マネーボール健在を見せつけた。
殊勲賞がデイヴ・ジョンソン。
技能賞がバック・ショウォルター。
敢闘賞がボブ・メルヴィン。
「最後の最後までわからなかった」プレーオフ争いを見ていたら、ついついこんな具合に優秀監督三賞を考えてしまった。
ナ・リーグを席巻したナショナルズのジョンソンについては、あらためて賛辞を送るまでもないだろう。先発投手陣の成長で侮りがたい伏兵と見なされていたものの、大リーグで最も若いこの球団がここまで勝てたのは、やはり老練ジョンソンの勝負強さによるものだろう。
今年69歳。
'86年にメッツを率いてワールドシリーズを制したときの雄姿は記憶に新しいが、あれからすでに26年。これほど豊かな晩年を迎えるとは思っていなかった。あとは、プレーオフでどこまで駒を進められるかが、興味の焦点だ。
近年稀に見る激しい首位争いとなった、ア・リーグの終盤戦。
一方、ア・リーグの終盤戦は、近年稀に見る、いや、球史に残るほどの激しいもつれようだった。
少なくとも'95年のワイルドカード元年以来、これほどスリリングな修羅場はなかった、といっても過言ではないだろう。とくに凄まじかったのは、東地区と西地区。
東地区では、ヤンキースとオリオールズがたがいに譲らず、最終戦でヤンキースがようやく突き放すという結果になった。
西地区でも、レンジャーズとアスレティックスが最終戦を残してぴたりと肩を並べ、最後はなんと、アスレティックスが劇的な地区優勝でフィナーレを迎えることとなった。
どちらの地区も、立役者は開幕前の評価がけっして高くなかった弱体球団だ。