リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
テレビ最優先で真夜中に試合開始!?
観客軽視のリーガが抱える裏事情。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto Press
posted2012/08/23 10:30
現地時間午後11時、日本時間早朝6時キックオフとなったレバンテ対アトレティコ・マドリー。写真は同点ゴールを挙げたアトレティコのトルコ代表MFアルダ。
協会側は公平性を強調するが、その実態は矛盾だらけ!?
するとリーガは次のように答えた。
「暑さから選手を保護するために8月中の試合は全て19時以降に始めるよう選手組合から要望があった。第3節(9月1日と2日)からは例年どおり(もっと早い時間の試合)になる」
たしかにプレシーズンには23時キックオフで試合をする地域がある。スペインでは、20時や21時では選手にとっても観客にとってもまだ暑いからだ。
「キックオフ時間の割り当ては、地理的な条件と(客足の減る)バケーション期間中にスタジアムへ足を運んでもらえるよう“サッカーツーリズム”の観点から決定した」
もっともなことを言っているように聞こえる。が、カードを並べて見比べると、実は矛盾だらけである。
地理的条件からバレンシアを本拠とするレバンテの試合を23時キックオフとするならば、そこからわずか70km弱しか離れていない同じく地中海沿岸に面するビジャレアルの試合も遅らせねばならないはず。ところが、同じ週末に行われた2部の試合で21時以降に始まったものはひとつもない。
セビージャの試合もおかしい。日中の気温は40度に達する上、スペイン南部ということで日が長い町なのに21時キックオフである。
同様に、気温の上ではやはりバレンシアやマジョルカ島を上回るマドリード市内で行われた2試合も21時と19時の開始だった。さらに、“サッカーツーリズム”云々に関しては、バカンス期間なのでどうせ観客が少ないのだから23時開始でもかまわないだろう……という、端から観客動員など気にもかけていないことを白状するも同然の言い草である。
テレビ視聴率が最優先で、スタジアムの観客は二の次に。
要は、リーガはテレビの視聴率がとれるカードを良い時間帯に持ってきているだけなのだ。
たとえば優良コンテンツであるアトレティコは次節、プライムタイムである月曜日の22時キックオフで試合が組まれている。金曜日、モナコでチェルシーとUEFAスーパーカップを戦わねばならないにもかかわらず。
また、そのアトレティコと対戦するアスレティック・ビルバオは、木曜日にELの本戦行きをかけHJKヘルシンキと対戦するが、これも全く考慮されていない。