野球善哉BACK NUMBER
大阪桐蔭を倒した大金星よ再び!
天理が生まれ変わって、運命の対決。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/08/19 19:00
センバツでは腰を骨折し、2カ月以上の治療を経て復活した天理のエース中谷佳太(右)。帽子のつばの裏に3年生部員全員の名前を記して、力投を続ける。
センバツの覇者で春夏連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)に、この1年間の公式戦で土をつけたことがあるチーム――。
それは、夏の甲子園出場26回を誇る古豪・天理(奈良)だ。
昨秋の近畿大会準々決勝。
この試合に勝てば、センバツの出場切符が確実となる試合で、天理が大番狂わせを起こしたのだ。
2-3の1点ビハインドとなった6回から反撃。関屋亮の本塁打など6、7回で計6得点を奪い、大阪桐蔭のエース・藤浪晋太郎をマウンドから引きずり下ろした。投げてもエース・中谷佳太が不調と見るや、本格派右腕の山本竜也を投入し、大阪桐蔭の攻撃を封じた。
互いの総力戦を制しての劇勝だった。
その天理が今日の第3試合に登場。センバツベスト8の浦和学院を破って、夏は8年ぶりの準々決勝進出を決めた。
そして、次に対戦する相手というのが、大阪桐蔭なのである。
天理と大阪桐蔭。
この1年で両者の立ち位置は180度、異なるものになった。
大会前の評判では、天と地ほどの差があった大阪桐蔭と天理。
今年のセンバツの大阪桐蔭については言わずもがなだが、天理はセンバツの1回戦で健大高崎(群馬)に3-9で敗退。相手の機動力を生かした攻撃に守備が破たんし、惨敗した。
夏の舞台に帰ってきたとはいえ、春夏連覇を狙う大阪桐蔭と天理とでは、大会前の評判は天と地ほどの差があった。
「月とすっぽん。力が違います」と天理の橋本武徳監督も言う。
しかし、その天理は1回戦の宮崎工(宮崎)戦を辛勝で乗り切ると、2回戦の鳥取城北戦では、投打で圧倒して勝利。
今日の3回戦では、先発の中谷佳太が7安打1本塁打を浴びながらも、粘り強く投げ抜き2失点完投。打っても長短打10本を絡めて6点を奪い、センバツベスト8の浦和学院を下したのである。