なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
アメリカに敗戦、選手はどう考えた?
笑顔で終わった、なでしこの五輪。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2012/08/11 11:05
表彰台に向かうなでしこ達は、はじけるような笑顔を見せていた! 彼女たちの活躍は、日本中の多くの人に、金メダル以上の大きな感動と幸せをもたらした。
試合内容はドイツW杯の時より大幅に上回る出来だった。
勝負の世界に「たられば」はないが、しかし、早い時間帯での失点がなければ日本が優位に試合を進め、力で来るアメリカをいなして勝てたかもしれない。それほど、この日のなでしこは自信に満ち、アメリカと互角以上に戦った。
「ドイツW杯の時は、アメリカに攻められ、凌いで凌いでという感じだった。でも、今回は試合はもちろん内容でも勝とうという話を、みんなでしていたんです。実際、試合の内容はW杯よりも良かった。日本のペースでサッカーが出来たので、そういう部分では、負けたけど自信になったと思います」
岩清水は、そう言った。
彼女の言う通り、後半はワンバックが競って、モーガンがそのボールを拾って攻めるという従来のパターンでしかアメリカの攻撃は機能しなかった。日本のパスを追っている守備の時間が増え、逆に日本は余裕を持ってボールを回しながら急所を狙い、チャンスを作った。それだけに、追い付けなかったことが歯痒かった。
勝負には負けたが、試合内容はドイツW杯を越えるものになっていた。あれから1年、成長した跡を見せることができたのだ。その成長の証が銀メダルだとすれば……金メダルが取れなかったということは、まだ伸び代があるということでもある。それがアメリカ戦で垣間見えたのは、金メダルと同様に価値のあることであろう。
試合が終わり、一度ロッカーに戻った時、全員で泣き、メダル授与式の時は、みんな笑顔でピッチに登場した。
多くの人に期待され、期待通りにメダルを獲った。それをやり切ったなでしこの笑顔は、本当に美しかった。