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<W杯の正しい見方> フース・ヒディンク 「ガーナとスロベニアに番狂わせの匂いがする」
text by
ジミー・フロントストラJimmy Grondstra
photograph byGetty Images
posted2010/05/28 06:00
世界トップクラスのMFに見られる共通点。
世界のトップクラスのMFには共通点がある。背はそれほど高くないが、テクニックとスピードがあり、なおかつ連続したコンビネーションプレーができ、短い距離でもパスを素早く交換できる。もしこれができれば、どんなに狭いエリアだろうが、スペースを見つけることが可能になる。バルセロナやスペインは、まさにその方法で成功を収めている。今や世界中のサッカー関係者がこれを模倣しようとし、その結果、サッカー界のトレンドになりつつある。
スペイン代表は、私から見ても完璧なチームだ。
W杯のようなハイレベルの大会では、もはや組織力だけで勝負するには限界があり、局面を打開できる個人の力が必要だ。スペインはビジャやF・トーレスというストライカーがいるので、そういう条件もクリアしている。また、プジョルの揺るがないメンタリティも大きな武器だ。彼はチームに緊張感を与え、全員を同じ方向に向けることができる。ユーロ2008で優勝したことで、チームとして自信をつけたことも大きい。
ドイツの恐るべき勝負強さも忘れてはいけない。
同じくブラジルも、弱点を見つけるのが難しいチームだ。攻撃面ではキープレイヤーのカカを止めるのは簡単ではなく、守備面では世界最高のDFのひとりであるルシオがゴール前で相手をはね返す。そして、見逃していけないのは、彼らはモチベーションを高める必要がないということだ。セレソンは代表に選ばれるまでの競争が尋常ではなく、常に勝利に飢えている。
しかし、スペインもブラジルも、今大会で優勝するのは簡単ではないだろう。毎日のように「あなたたちは優勝候補だ」と耳にすると、どうしてもメンタルに影響が及び、チームが危険な状態に陥ってしまうからだ。
正直なところ、W杯のファイナリストを予想するのは難しい。ビッグトーナメントでは、時に小さなディテールが勝負を分けることがある。たとえば、FKの際のポジショニングのわずかな違いが、ゴールになるかならないかを決める、というように。
もちろん、スペインとブラジルはファイナリスト候補になるが、ひとつ言いたいのは、常にドイツを忘れてはいけないということだ。彼らには恐るべき勝負強さがある。同じように、あまり期待されていないアルゼンチンも要注意だ。マラドーナが監督としていったいどんな試合をするのか、好奇心がうずうずするだろう?