プロ野球亭日乗BACK NUMBER
MLBとの親善試合で気づいた、
統一球がメジャー球より飛ばない訳。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/04/29 08:01
統一球導入元年となった昨季、93打点で自身初の打点王を獲得した新井。今季も深刻な「投高打低」が続くなか、選手会会長としてNPBと12球団に統一球の検証と見直しを求めた。
飛ぶボールに戻す必要はないが、基準の見直しは不可欠。
投手戦ばかりで試合がつまらないと言われる。投手戦がつまらなくて打撃戦が面白いのかといえば、それは一概に断ずることはできないだろう。ただ、統一球の導入から観客動員力が減少傾向にあるのもまぎれもない事実ではある。
統一球が導入された2011年度の観客動員はNPB全体で前年比2.6%減の2157万196人で、1試合平均では2万4966人と前年より700人弱の減少傾向を見せていた。今年は4月25日現在でセ、パ合わせた動員数は277万5203人で、1試合は2万2562人。これは前年平均より2404人も少ない危機的な数字でもある。
こうした事実を踏まえれば、選手会が要望した統一球の検証と見直しという作業は、日本プロ野球にとって、避けて通れないものとなるはずである。
もちろん統一球を以前の飛ぶボールに戻す必要はない。ただWBCや国際大会での対応を考えるなら、メジャー球のどこに基準を合わせるのか。その線引きをもう一度、見直すことは必要となってくるだろう。
そしてあとは……。
修正が必要だと分かったときには、責任者が「間違っていました」と素直に頭を下げて訂正することだけである。統一球に「加藤良三」とコミッショナーのサインが入っているのは、そのためではないのだろうか。