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クロップ監督が異例の長期契約延長。
欧州制圧を狙うドルトムントの野望。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byItaru Chiba

posted2012/02/12 08:01

クロップ監督が異例の長期契約延長。欧州制圧を狙うドルトムントの野望。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

2016年6月までの契約延長が決まったクロップ監督。全うすれば、8シーズンでクラブ史上最長期間となる

バイエルン一極時代の終焉と若手のドルトムント志向。

 先月には、エポックメイキングな“事件”も起こった。顔を赤らめて怒ったのは、バイエルンのヘーネス会長だった。バイエルンが獲得にむけて動いていたボルシアMGのマルコ・ロイスが、今季終了後にドルトムントへ移籍することが決まったからだ。

 これまで、バイエルンはドイツの盟主として、多くの選手を半ば意のままに獲得してきた。彼らには十分な給料を払えるだけの資金力と、コンスタントにチャンピオンズリーグに出場できるだけの競争力があり、所属選手を全面的にサポートする温かさがあった。

 しかし、ロイスはバイエルンではなく、ドルトムントを選んだ。思えば、昨シーズンも似たような出来事があった。ドイツ代表のセンターバックであるフンメルスは、バイエルンユース出身で、父親がバイエルンユースでコーチを務めている。昨シーズン、バイエルンはフンメルスを買い戻そうとしたが、本人はこの申し出を断り、ドルトムントとの契約を延長したのだ。

 バイエルンに誘われれば、ドイツ人選手なら誰でも首を縦に振る。そんな常識が昨シーズン以来、覆り始めている。

「ドルトムントは、特にドイツ人の若い選手には人気っすよね。彼らにとっては憧れのクラブでもあるのかな。ドルトムントには若いプレーヤーが多いし、若いドイツ代表の選手もたくさんいる。ドルトムントにとっては良い流れですよね」

 日本人ながら、ドルトムントの若き才能の一人として活躍する香川もそう語っている。

スタジアムに鳴り響く8万人の声援が選手を後押し。

 ドルトムントの魅力はそれだけにとどまらない。今シーズンはこれまでヨーロッパ最高となる8万300人の平均観客動員数を記録して、いつでもファンの後押しを受けられる。それでいて、ドイツのクラブとしては珍しく、非公開練習が多く、練習に集中できる環境が整っている。クラブハウスにはジャグジーからサロンまで、他のクラブがうらやむほどの施設が整っている。さらにバリオスの通訳であるハーディー氏や香川の通訳である山守氏のデスクまで用意する徹底ぶりだ。

 また、来シーズンからはクラブの収支がこれまで以上に厳しく監査され、赤字が膨らんだ場合にはCLやELなどの出場権はく奪も辞さないファイナンシャル・フェアプレー制度が導入されるものの、しっかりと利益を出しているドルトムントに不安はない。

【次ページ】 香川をはじめとする主力選手にも契約延長のオファーが。

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