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確実な犠打と投手起用が最大の見所!?
鷹と竜が相まみえる日本Sの行方。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byTamon Matsuzono/Shigeki Yamamoto
posted2011/11/11 11:00
秋田県生まれの57歳、落合博満(右)。熊本県生まれの49歳、秋山幸二。1980年代の現役選手時代には激しいタイトル争いを繰り広げたこともある2人が、監督となって再び雌雄を決する時が来た!
「打てない中日」の強さの源泉は確実なバントにあり。
今季、リーグ3位の147の犠打を決めているとはいえ、そのほとんどが本多(53)と細川亨(34)によるもの。小久保、松中、多村、内川に至ってはゼロだ。緊迫した戦いが続くであろう日本シリーズで、彼らが的確に犠打を決められるかは断定できない。
その点、中日は犠打に関しては徹底している。“お家芸”と言ってもいいくらいだ。
チーム総数はソフトバンクを上回る164。チームトップの井端弘和(31)を筆頭に、大島洋平(19)、森野将彦(13)、谷繁元信(12)、荒木雅博(10)と、スタメンの半数以上が10以上の犠打を記録した。
「平田(良介)のような長距離ヒッターにも、バントができなければ2軍に落とすという徹底した方針が落合(博満)監督にはあります。ですから、選手たちは自然と繋ぐ野球を意識するようになるんです」
通算犠打の世界記録を持ち、昨年まで二軍監督を務めていた川相昌弘は、かつてこのように話していたことがある。
その平田にしても、今季は7つの犠打を決めている。主力、控え問わず、選手全員が落合の掲げる野球を認識し、実戦でも確実に行える技術を身につけている。これこそが、「打てない中日」の強さの源泉でもあるのだ。
初戦の先発はソフトバンクは和田が濃厚、中日は……?
犠打を起点とした攻めは中日に分があるとすれば、ソフトバンクは相手を凌駕する潤沢な投手力でゲームを支配してくるだろう。
エースの和田毅に最多勝のホールトン、防御率1点台の杉内俊哉に先発転向1年目に14勝を挙げた攝津正と、特に先発陣は安定した力を誇る。
何より、クライマックスシリーズ(以下CS)をローテーション通りに勝てたため、日本シリーズでの投手起用に頭を悩ませる必要がない。さらに、第1戦の先発が濃厚の和田は、'09年以降の中日戦の成績が3勝無敗、防御率0.98と圧巻の数字を残している。
中日は、本来ならば初戦のマウンドを、ソフトバンクとの対戦成績が2勝無敗、防御率も1.93と安定しているエースの吉見一起に任せたいはずだ。しかし、CS5試合で中3日を含む2試合に登板させた現実から目を背けるわけにはいかない。いくらシリーズまで中5日空いているとはいえ、彼の勤続疲労を考慮すれば第2戦以降に回したほうが無難だ。