杉山茂樹のサッカー道場BACK NUMBER
CLの対戦相手から読み解ける、
CSKA本田圭佑の次の移籍先。
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/03/23 10:30
1ゴール1アシストの活躍を見せた本田圭佑。CSKAモスクワをCL8強へと導いた
暗いムードに覆われていた日本サッカー界に、ひさびさに降って湧いた明るいニュースだ。
CSKAモスクワをCLベスト8に導いた本田圭佑の話である。
偉そうに言えばだ、僕にとってこれは、予想通りのことが予想通りに起きたにすぎない。彼がこれくらいやるとは、星稜高校時代のプレーをひと目見た瞬間から思っていた。従来の日本人選手にはない圧倒的な気高さを直感してしまったのだ。
欲を言えばもう1年早くオランダに行ってほしかったのだが、階段を順調に上っていることは確かだ。
現金なもので、大口叩きのレッテルを貼っていた巷のメディアは、早くも次の移籍先に話題を転じている。
だが、CSKAモスクワより上のクラブはそう多くない。たくさんありそうに見えるが、実際にはそうでもない。今ロシアの経済は、欧州にあっては好調で、サッカー界にもその流れは確実に反映されている。
ロシアのUEFAランキングは6位。イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランスに次ぐ位置にいるが、ここ10年の成長度は欧州一だ。今一番勢いのある国だと言っていい。
本田にポンと15億円を出せるチームは多くないが……。
CSKAも同様。本田獲得のためにオランダのVVVに10億円近い移籍金を払ったと言われるが、それができるクラブはそう多くは存在しない。もし本田を他のクラブが獲得しようとすれば、CSKAは最低でも15億円は要求するだろう。
それができるクラブが世の中にいくつあるか。
バルサ、レアル・マドリー(スペイン)、バイエルン(ドイツ)、インテル、ミラン、ユベントス(イタリア)、アーセナル、チェルシー、マンU、リバプール(イングランド)は大丈夫かもしれない。
イングランドの4強に次ぐいくつかのチームも大丈夫だろうけれど、これらはCLに出場する可能性が低いので、ならばCSKAに残ったほうが本田にとっては得策だ。
今、本田を欲しがっているに違いないクラブは想像できる。
本田のゴールによってCLの舞台から去ることになったセビージャだ。彼のすごさを、どのチームよりも実感しているのは、まさにこのチームにほかならない。