プレミアリーグの時間BACK NUMBER
対照的な2人の“オーウェン”。
今季、輝きを放つのはどっちだ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/09/29 10:30
プレシーズンマッチで、バルセロナからゴールを決め喜ぶマイケル・オーウェン。目じりには皺が刻まれ、かつてワンダーボーイと言われた男ももはやベテランと呼ばれる年に
弱小での常時出場よりもマンUでのプレーにこだわりを。
だが、オーウェンの考え方は違うようだ。リーズ戦後にマイクを向けられると、「まだ2、3年はやれる」と言った後に、「願わくばマンUでね」と付け加えている。このこだわりは、一部で「給与泥棒」との批判を招く原因となっているが、トップレベルの年俸の維持が主目的であれば、そもそも2年前のマンU入り自体があり得なかった。移籍後の基本給は、週換算で10万ポンド(約1200万円)を超えていたニューカッスル時代の3分の1以下なのだから。
オーウェンは、「弱小で常時出場するよりも、強豪で出場機会を待つ方がいい」と、以前にも言っていた。試合数は限られても、いざピッチに立てば、実力者揃いのチームメイトたちのチャンスメイクが期待できるトップレベルの仕事環境。オーウェンのこだわりはそこにある。トップクラスとしての意地と潔さを見せるオーウェンは、マンUで出番を待ちながら、カップ戦を中心にゴール前で異彩を放つ今季の姿が、現役としての見納めになるかもしれない。
選手生命を賭してマンCに移籍したもうひとりのオーウェン。
もう1名のオーウェン・ハーグリーブスは、対照的に、今後のキャリアに貪欲だ。無理もない。今季からマンチェスター・シティに籍を置く30歳は、古巣マンUでは怪我に泣き続けた。マンCデビューを飾った21日のバーミンガム戦(2-0)で先発するまでは、丸3年間で合計15分足らずしかピッチに立つことができなかったのだ。
先制の20m弾は、約3年5カ月ぶりのゴールだった。しかも、得意の右足による極上の1発。その距離といい、GKもなす術なくネットに吸い込まれた弾道といい、2008年4月のアーセナル戦で、あのクリスティアーノ・ロナウドを差し置いてFKを蹴って決勝点となった、マンUでのラストゴールに匹敵する見事さだった。センターハーフにとって得点は二の次だが、57分間、タックルをためらうこともなく、中盤のスペースを精力的にカバーした総合的な内容で、復活への狼煙を上げたと言える。
決意の程は一般的な「故障明け」の比ではない。移籍前の7月、「万年負傷」のイメージを払拭するために、自らYouTubeにアップしたエクササイズ・ビデオは、少なからず話題を呼んだ。その前の段階では、契約満了前のマンUで、「無給でも構いません」とまで言って残留を直訴していた。
最終的なマンC入りも、移籍金が発生しないことから1年契約に踏み切ったクラブ側だけではなく、当人にとっても大きな賭けだ。キャリア再生には出場機会が必要なハーグリーブスだが、マンCの選手層の厚さはプレミア最高レベルなのだから。