プレミアリーグの時間BACK NUMBER
対照的な2人の“オーウェン”。
今季、輝きを放つのはどっちだ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/09/29 10:30
プレシーズンマッチで、バルセロナからゴールを決め喜ぶマイケル・オーウェン。目じりには皺が刻まれ、かつてワンダーボーイと言われた男ももはやベテランと呼ばれる年に
'08年以来の代表復帰も視野にピッチに立つ機会を待つ。
だが、彼も賭けに勝つ可能性はある。
事実、バーミンガム戦後のロベルト・マンチーニ監督は、獲得当初、「コンディションを測りかねた」として、CLグループステージの選手登録から外した新MFに対し、「決勝トーナメントに進出できればメンバー入りの可能性はあるし、イングランド代表にとっても貴重な戦力になれる」と評価を改めている。
'08年以来の代表復帰は、本人も認めている目標の1つだ。現時点で正ボランチのスコット・パーカー(トッテナム)は、年齢的に同世代。代表での実績は、'06年W杯でファン投票によるチーム内MVPに選ばれたハーグリーブスに分がある。代役を争うギャレス・バリーは、クラブでも競争相手だ。
国内と欧州の二足のわらじを意識するマンチーニが、ローテーションを多用することは間違いなく、出場機会を得るにつれ、攻撃センス、タックル、スタミナの全てにおいて、ハーグリーブスが上であることが明らかになっていくと思われる。9月のユーロ予選で代表に6名を送り出したマンCの試合は、ファビオ・カペッロ代表監督の観戦率も高く、直接的なアピールにも好都合だ。
ケガに泣いた悪夢の3年間も「最悪だったわけじゃないさ」。
もちろん、全てはフィットネス次第だが、メスを入れた両膝そのものは、この1年半は問題となっていない。昨季は、膝のリハビリを終えた後、試合でハムストリングを痛め、挙句の果てには、練習中に肩を脱臼する不運に見舞われた。並の選手であれば、リハビリ続きで弱気になり、現役続行を諦めていたのではないだろうか? だが、ハーグリーブスは、悪夢の過去3年間でさえ、「苦しい時に人々の暖かさに触れることができたから、全てが最悪だったわけじゃないさ」と振り返ることのできる精神力の持ち主だ。
ホームデビューを果たしたハーグリーブスの姿を前に、マンCのファンは、「ファーギーよ、契約しなくていいのか?」と、マンU指揮官への当て擦りのチャントを歌って沸いた。
開幕からプレミア首位を争っているマンチェスターの両軍に、カーリングカップ第3ラウンドを経て、“Wオーウェン”という更なる見所が加わった。