プレミアリーグの時間BACK NUMBER
対照的な2人の“オーウェン”。
今季、輝きを放つのはどっちだ?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byREUTERS/AFLO
posted2011/09/29 10:30
プレシーズンマッチで、バルセロナからゴールを決め喜ぶマイケル・オーウェン。目じりには皺が刻まれ、かつてワンダーボーイと言われた男ももはやベテランと呼ばれる年に
9月20日と21日の両日、カーリングカップ(リーグカップ)第3ラウンドが行われた。本ラウンドからはプレミアリーグ上位勢も参戦となる。カップ選手権としてのステータスでは伝統のFAカップに敵わないが、反面、強豪チームの控え選手にとっては、貴重な出場機会が約束される大会でもある。
今回は、昨季のマンチェスター・ユナイテッドで「忘れられた男」としてシーズンを終えた「2人のオーウェン」が、その存在を世に知らしめた。
20日のリーズ対マンU戦(0-3)では、今季初出場のマイケル・オーウェンが2得点を上げた。ほぼ8カ月ぶりの先発フル出場に華を添えたゴールは、いずれも天性の点取り屋らしいものだった。先制の1点は、クリーンヒットではなかったものの、DFの股間を抜けたボールが正確にポスト内側に転がり込んだ。2点目は、ペナルティエリアの縁から右足を振り抜き、ゴール上隅に蹴り込んでいる。
全盛期は過ぎたが“フィニッシャー”の切れ味は衰えず。
この12月で32歳のベテランが、全盛期のスピードを失っていることは言うまでもない。しかし、“フィニッシャー”としての実力は、いまだにアレックス・ファーガソン監督に買われている。
去る5月のCL決勝では、昨季プレミア得点王のディミタール・ベルバトフを抑えてベンチ入り。自身はリーグ戦で11試合2得点に終わっていながら、ほどなくして、来夏までとなる1年間の契約延長も成立した。
但し、若返りが進む今季のチームでは、ウェイン・ルーニーとハビエル・エルナンデスのレギュラー2トップはもちろん、レンタルから戻ったダニー・ウェルベックよりも優先順位が低い第5ストライカーというのがオーウェンの立ち位置だ。であれば、キャリアも終盤のFWが、来年の1月または夏の移籍を意識しても不思議ではない。ボックス内での感覚と能力は衰えていないだけに、レギュラーを張れる環境に身を置けば二桁台の得点数も可能だろう。
国内では、同じく小柄な元プレミア得点王ケビン・フィリップスが、38歳の今季も、新天地のブラックプール(2部)で開幕から7試合5得点と現役を楽しんでいる。