なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
女子W杯グループ1位突破の鍵は、
安藤、永里、大野の“トライアングル”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2011/07/01 10:30
過去最高のFIFAランク4位でW杯に臨んだ、なでしこジャパン。まずはグループリーグ突破に向け、初戦で貴重な勝ち点3を獲得した
主力も控えも勝利のために献身的な姿勢を見せる。
メキシコとの第2戦に勝てば、グループリーグの首位での突破も現実味を帯びてくる。もし、グループ2位で勝ち上がった場合は、決勝トーナメント1回戦の相手が地元ドイツになる可能性が高い。カナダとの開幕戦で73680人のファンを集めたドイツ代表。トーナメントの早い段階で対戦するのは避けたい相手である。
それだけにメキシコ戦は今大会の行方を占う一戦となりそうだ。
ニュージーランドとの試合の後、早々と引き上げる相手チームを横目に、日本代表の選手たちはピッチに残っていた。試合に出た選手はゆっくりとクールダウンを、試合に出られなかった選手たちはわずかな時間ながら練習を行なった。
そんな中で大野は、クールダウンを終えると、キャッチング練習をする2人のGKの元へと歩み寄った。2人の置いたタオルの脇に冷えた水を運び、しばらくして今度はスポーツドリンクを運んでいった。
「いつも、誰かがやっていることなんですよ」
そう言って大野は謙遜する。
自身の望むポジションでプレーできず、自分と交代した選手が活躍した試合で最も悔しさを味わったであろう大野が、チームのために献身的な姿勢を見せていたのだ。
そのシーンを見て、今から5年前にドイツで行なわれた男子W杯で優勝したイタリア代表のことを思い出した。天王山となった準決勝のドイツ戦で、試合中にプレーが止まるとベンチにいた控えメンバーが、試合に出ている選手たちに冷えた水を運んでいた、あのシーンを……。