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不倫疑惑でテリーがキャプテン降格。
セレブ揃いの代表でこの先大丈夫? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byAction Images/AFLO

posted2010/02/10 10:30

不倫疑惑でテリーがキャプテン降格。セレブ揃いの代表でこの先大丈夫?<Number Web> photograph by Action Images/AFLO

イングランド代表をキャプテンとして牽引していたテリー。ピッチ内でのプレーとキャプテンシーは申し分なかったのだが……

テリーとわずか12分しか面談をしなかったカペッロの決断。

 だが、最終権限を持つ指揮官は、疑惑報道から1週間という早さでキャプテン交代に踏み切った。前日に休養先のスイスから戻ったカペッロは、ウェンブリー・スタジアム内のオフィスにテリーを呼ぶと、正味12分間ほどで終わったという面談の席でキャプテンの任を解いたのだ。降格を告げる前に本人の言い分は聞いたようだが、カペッロの中で、テリーの処遇はとうに決まっていたのだろう。

 カペッロの声明文には「イングランドにとっての最善策を選択した」とある。たしかに、今回の即断は国内で歓迎されている。降格発表の翌日、メディアの論調は「然るべき措置をとった」という線でほぼ統一されていた。『ウォーターゲート事件』('70年代に米国ニクソン大統領辞任を招いたスキャンダル)ならぬ『テリーゲート事件』とまで騒がれたテリーの疑惑が、W杯を4カ月後に控えた代表にとって要らぬ雑音であったことは事実であり、監督は即座に消音に成功したのだ。

第2、第3の『テリーゲート事件』が起こったらどうする?

 ただし、「最善策」という表現が適切かどうかは微妙だ。ピッチ外のスキャンダル、しかも、ことが疑惑の段階でテリーを裁いたことは、第2、第3の『テリーゲート事件』を招く下地を作ってしまったといえるのではないだろうか? というのも、テリー以外のキャプテン候補と言われる顔ぶれの中に、私生活での疑惑と無縁の選手がいるかと聞かれると、答えは「No」だからだ。

 新たにキャプテンに就任したのは、副キャプテンから昇格したリオ・ファーディナンドだ。彼はただでさえ、故障続きで今季の出場試合数が限られており、今後ピッチ上で精彩を欠いたりミスを犯したりする度に代表キャプテンの資質が疑問視されるだろう。しかも、ピッチ外での“失態”はさらに深刻だ。すでに、キャプテン交代を伝える記事には、薬物検査を怠った2003年の有名な一件はもちろん、代表デビューを飾った1997年の飲酒運転にまで遡って、ファーディナンドの「古傷」に触れているものもあった。今後はファーディナンドが、鵜の目鷹の目でスクープを狙うマスコミのターゲットになる。

【次ページ】 セレブ揃いの英代表には不祥事候補もズラリと揃う。

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