プレミアリーグの時間BACK NUMBER
不倫疑惑でテリーがキャプテン降格。
セレブ揃いの代表でこの先大丈夫?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAction Images/AFLO
posted2010/02/10 10:30
イングランド代表をキャプテンとして牽引していたテリー。ピッチ内でのプレーとキャプテンシーは申し分なかったのだが……
2月5日、イングランド代表のファビオ・カペッロ監督は、ジョン・テリーにキャプテン降格を命じた。原因はテリーの私生活をめぐるスキャンダルだった。
1月29日、国内のメディアがテリーの不倫疑惑を一斉に伝えた。疑惑を調査していた『ニューズ・オブ・ザ・ワールド』紙(『サン』紙の日曜版)に対して、テリーが起こした差し止め請求が棄却されたことで報道解禁となったためだ。するとイングランドでは、テリーの代表キャプテン降格を求める声が一気に高まった。
たしかに疑惑の内容が本当であれば、道徳的な観点から激しく非難されても仕方がない。テリーは3年前に結婚した妻と3歳になる双子を持つ一家の主。しかも浮気の相手は、昨年までの5年半をチェルシーで共に過ごし、親友とも言われるウェイン・ブリッジ(現マンチェスター・シティ)のガールフレンドだった女性なのだ。彼女に妊娠中絶を強要したとの説まで報道された。テリーの妻が、ショックのあまり子供を連れてドバイへと旅立ってしまったのも無理はない。
疑惑報道の信憑性は低く、キャプテン続投の可能性もあった。
しかし、同時に国内では、指揮官がキャプテンの処分を急ぐことはないだろうとの見方も強かった。
テリーの不倫疑惑は、現時点ではあくまでも疑惑でしかない。テリーと妻、昨年中に破局しているブリッジとガールフレンド、そして、その彼女とテリーの本当の関係は、実のところ、当人たち以外には知り得ない。新聞社の情報源はテリーらの友人とも代表選手とも言われているが、彼らの正体とその信憑性は一切明かされていない。『サン』紙には噂の女性宅を出るテリーの姿を捉えた写真が掲載されていたが、両者の自宅は近所にあり、不倫の確たる証拠というわけではない。カペッロは厳格な人物ではあるが、同時に現実的に物事を判断する監督としても知られる。このように疑惑でしかない時点で、W杯予選でチームをきっちりとまとめ、9勝1敗で本大会出場を決めた原動力となったキャプテンを降格させるのはリスクが大きいと考えてもおかしくはない。
3月3日に予定されているエジプトとのテストマッチで、テリーが代表選手たちの信頼を失っていることが判明すれば、そのときは問答無用でキャプテンから降格。信頼がそのまま変わっていなければ、キャプテン続投というシナリオも考えられた。