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左打者が多すぎる。
~勝利至上主義の弊害~ 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2009/06/16 06:01

左打者が多すぎる。~勝利至上主義の弊害~<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

近視眼的な勝利至上主義が「作られた左打者」をうむ。

 どうして「作られた左打者」は多くなるのか。5年前、雑誌で対談してもらった高嶋仁(智弁和歌山監督)、中村順司(元PL学園監督)両氏に「右投左打」はなぜ増えるのか聞くと、「右投左打を作ったことはほとんどない」と両名将は答えた。入学したとき既に右投左打になっている、と口を揃えた。

 右投左打は打者走者の一塁到達に有利、という勝利至上主義を背景に作られる。それが高校野球より以前の中学野球、あるいは少年野球の現場で行なわれているというのだ。大らかにバットを振ってホームランを狙う“楽しい野球”が小・中学の現場で駆逐されている現実を知ることは、ストップウオッチによる各塁到達タイムを各媒体で発表し続けてきた身には辛い。スタメン9人のうちチャンスメーカーは上位、下位で2、3人いればいい。つまりチーム全体で4、5人が一塁到達4.29秒未満(全力疾走の基準タイム)を実践し、あとの4、5人は塁上の走者を還す役割を実践する。そういう役割分担を明確にしないとこれからも「右投左打」が増殖して、日本野球はますますいびつになっていくだろう。

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