MLB東奔西走BACK NUMBER
イチローだけがサムライじゃない!
マイナーから挑む若き日本人選手達。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byYasushi Kikuchi
posted2011/04/05 10:30
写真左から高野一哉投手(18)、ロバート・ブース投手(25)、西嶋一記投手(22)。各選手とも日本でのプロ経験はなく、アメリカに渡り、マイナー契約でドジャースのキャンプに参加している。高野、西嶋両投手は今シーズンからの挑戦となる
6階層もあるマイナーリーグの種類とその内容。
メジャーの各チームは、それぞれ6つのレベルのマイナー選手たちを抱えている。上から順に言うと、以下の通りである。
トリプルA(もしくは3A)
ダブルA(もしくは2A)
クラスAアドバンスド(通称ハイA。一般的にシングルAはこれを指す)
クラスA(通称ローA)
クラスAショート・シーズン(通称ショートシーズン)
ルーキー
それぞれリーグの規則で23~25人の出場登録枠を持っている。
故障選手などを考慮すれば単純な足し算、引き算では計算できないが、メジャーの各チームが必要とするマイナー選手は合計で140~150人となり、それ以外は毎年のように不要になってくるわけだ。
さらに6月にはアマチュア選手対象のドラフトが行なわれ、指名された50人の中で契約が決まった選手たちは、6月に開幕するショート・シーズン、ルーキーなどに加わるので、ここでも余剰人員が整理される。チームの期待通りに成長できない選手たちは数年で見切られてしまうのだ。
日本人ロバート・ブースの前に立ちはだかる2Aの高き壁。
取材した選手のなかにこんな“日本人選手”がいる。
ドジャース傘下のマイナー選手で、今年4年目を迎えるロバート・ブースだ。
茶髪、青い目を持つ彼は、その容姿からは想像しにくいが、日本人の母を持ち、生まれも育ちも日本のため今も英語を話すのが苦手という異色選手だ。
高校から野球を始め、亜細亜大学に進学。大学4年間は、ほぼ直球しか投げなかった投手なのだが、ドジャースの小島圭市スカウトに目をかけられ2007年にドジャースとマイナー契約を結んだ。2008年からショート・シーズン→ローA→ハイAと順調にレベルアップし、昨年は最速で時速96マイル(約154キロ)を計測しているという。そんなブースにとっても今シーズンはまさに正念場なのだという。
「毎年1つずつレベルが上がってきているので順調だとは思います。ここまで同時期に入った選手でも途中で首になった選手もかなりいます。自分の中ではハイAと2Aの差が一番あると感じてます。今年は何とかシーズン途中でも2Aまで上がるというのが目標です」
ブースが説明する通り、下部レベルから始めるマイナー選手にとって当面の最大の目標は2A昇格だ。