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「真の“女子4回転時代”到来かはまだ疑問」荒川静香が語るトゥルソワ、コストルナヤら“ロシア新世代”の台頭<解説/2020年>
今シーズンはジュニアから上がってきたばかりのロシアの3人がグランプリシリーズ6大会すべてで優勝し、グランプリファイナル、欧州選手権でも表彰台を独占と、女子フィギュア界を席巻しました。
彼女たちの大きな特徴としては、ジャンプの難易度が驚異的に高かったことがあります。コンビネーションジャンプも多彩で、プログラムの構成においてさまざまな選択肢を持っている点が強さを支えていました。
そうした共通点がありつつも、それぞれの個性には違いがありました。
すべてが武器といえる、バランスの取れたコストルナヤの滑り。
私が一番心に残ったのは、他の2人より1歳年上のアリョーナ・コストルナヤです。「武器は何ですか」と聞かれれば、「すべて」と言えるくらい、バランスが取れている選手です。
ジュニアの頃からひとつひとつの技をきれいにこなし、基礎からしっかりと磨いてきたのでしょう。スケーティングが高いレベルにあり、しかも表現の幅が広い選手だったので、シニアになった今シーズンはどんな演技を見せてくれるのかを楽しみにしていました。
期待していた通りの活躍でしたが、あらためて感じたのは、一歩の伸びや滑らかさでした。たくさん(脚を)クロスしないと進まないのではなく、気づいたら加速できているような滑りと言えば分かるでしょうか。
そしてつなぎの良さも目につきました。この年代だと、どうしてもジャンプ直前の演技がおろそかになってしまいがちです。ジャンプに気持ちが150%いってしまっているのでは? と思えるくらいにジャンプに気を取られて、何か動作はしているのだけれど、そこに心がなかったりする。ジャンプのためのただの助走の時間になってしまうのです。
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