特別増刊
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「今は氷上より授業の時間が長い」“イェール大入学”ネイサン・チェンの文武両道が生んだ「史上最高の自分」<独占インタビュー/2019年>

2019.03.21 World Championships
GPシリーズ2戦を大差で優勝し、そのままの勢いでGPファイナルも優勝。羽生との直接対決で劇的な試合となった世界選手権翌日、独占取材に応じ、大きな環境の変化があった1年を振り返った。(初出:Number PLUS FIGURE SKATING TRACE OF STARS 2018-2019ネイサン・チェン 文武両道が生んだ史上最高の自分。)

 3月23日、世界選手権男子フリー当日、さいたまスーパーアリーナは、羽生結弦の圧巻の演技が終わったばかりで、熱い余韻にまだ空気がざわめいていた。くまのプーさんのぬいぐるみで氷の半分が埋め尽くされたリンクの上に、次の滑走であるネイサン・チェンが登場する。大勢のフラワーガールズたちが、必死でぬいぐるみを回収していく中で、一人チェンだけが静寂の中にいて、黙々とウォームアップを続けていた。

「ユヅルの後で滑った経験は前にもあったので、プーさんの雨が降ってくることは予想していました。もちろん、ちょっと精神的に圧倒される感じはありました。でもこんな経験は毎日できるものではない。あれほどの観客が、このスポーツを熱狂的に愛しているのは驚くべきことです。そのエネルギーを肌で感じて楽しもうと思って集中しました」

ユヅルと試合に出られて、同じ表彰台に立ててすごく幸せ。

 チェンのフリーは、シルク・ドゥ・ソレイユの振付も手掛けるサミュエル・シュイナールとアイスダンスコーチのマリー=フランス・デュブレイユが共同で振り付けた「ランド・オブ・オール」。

 冒頭の4回転ルッツ、続いた4回転フリップをまるで3回転のように余裕を持って降りると、さらに二度の4回転トウループ、トリプルアクセルを含むフリーの演技を最後までノーミスで滑り切った。元々ダンスの基礎があるチェンだが、今季のプログラムを見るとスケーティングに伸びが加わり、肩甲骨からきれいに伸びる上半身の動きも、さらに洗練されてきている。

会員になると続きをお読みいただけます。
オリジナル動画も見放題、
会員サービスの詳細はこちら
特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Asami Enomoto

0

0

0

前記事 次記事