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「腐らず、地道に積み重ねてきたからこそ」鈴木明子が心を揺さぶられたロシア人の演技とは? 日本勢は「4回転」の取捨選択を<解説/2021年>
世界選手権を観ると、メダルを争う選手たちは、トリプルアクセルや4回転ジャンプをプログラムに組み込むのが当たり前となってきた印象を受けます。それらを特別なジャンプとしてではなく勝つためにどう入れていくかがポイントとなっているように感じました。
4回転ジャンプという点で、今大会でインパクトを受けたのは銅メダルのアレクサンドラ・トゥルソワですね。ショートプログラムは12位でしたが、フリーは4回転ジャンプを5本入れる驚異的な構成で臨み、ミスはあったもののフリー1位で巻き返してみせました。
あれだけの本数を入れること自体、女子では初めてのことです。そもそも4回転ジャンプの基礎点が高いので、失敗が複数出ても、点数として残る部分がものすごく大きかった。あらためてジャンプの基礎点の高さがいきるんだなと感じました。
優勝したアンナ・シェルバコワもフリーに4回転を入れていました。ショート1位の彼女はフリーで4回転フリップ1本のみで、失敗してしまったものの、後半2つのコンビネーションジャンプでは高い加点を得ています。4回転だけではなく、何をどこで組み込むのか、戦略的な構成をきっちり決めてきました。
トゥクタミシュワの涙に感じるものがあった。
2位のエリザベータ・トゥクタミシェワは今大会、6年ぶりの世界選手権出場でした。
彼女が銀メダルを獲得し流した涙に、大会を通じていちばん感じるものがありました。3年前はロシアでどんどん下の世代が出てきて、平昌五輪にも行けなかった。その後も若い選手が4回転ジャンプを跳んで活躍する姿を見ても腐らず、自分ができることを地道に積み重ねてきたからこそ今回の銀メダルがあると思うんです。
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