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「僕の思いを翻訳して、柔らかい言葉で全体に…」大迫傑が今も感謝する“早大の同級生”とは?《箱根駅伝への伝言/2021年》
大学生時代、個人としてトラックで世界と勝負したかったので駅伝に対してはやや厳しいことを言ってきました。また、当時は未熟で言葉が尖りすぎていたので誤解されているかもしれませんが、僕は「箱根駅伝」という大会自体や、それに向かう過程で大学生が得る経験は素晴らしいものだと思っています。
まず、箱根駅伝のコンテンツとしての力は凄まじいものがあります。大学生が一瞬一瞬を大切にしながら仲間と頑張っているからこそ、優勝争いはもちろん、たすきをつなぐという行為、初出場を目指す大学など色々な角度でドラマが生み出されています。42・195kmを走るマラソンにも言えるのですが、選手がそこに至るプロセスが透けて見えるからこそ、毎年、魅力的なレースになっているのではないでしょうか。
また、いま振り返ると、箱根駅伝を目指す早稲田大学競走部というコミュニティで、競技以外の点、やや漠然とした言葉ですが“人間力”を学んだと思います。
僕は4年生で駅伝主将になったのですが、海外のレースに出たり、アメリカでナイキ・オレゴンプロジェクトの練習に参加したりとチームを離れる期間が長かった。しかも競技に対して高い意識で取り組むことを周囲に求めていたので、特に後輩にとっては厳しい面もあったかもしれません。そこで支えてくれたのが同級生で仲の良かった田中鴻佑です。田中は僕の「個人で世界で戦いたい」「そのために海外に出ることが必要」という気持ちを理解した上で、不在の主将の思いを翻訳して、柔らかい言葉で全体に伝えてくれました。それでチームがコントロールできた面がとても大きくて、今でも感謝しています。
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