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山梨学院大学vs.早稲田大学の光芒…渡辺康幸とマヤカが証言「天才肌ですから」「オツオリのように」<箱根駅伝クロスインタビュー/2013年>

2023/12/14
ケニア人留学生と天才ランナー。2人のスーパーエース対決は花の2区を熱く燃えあがらせた。ともに区間新を出し、4度の逆転劇を演じた'95年。激闘の裏側を関係者に聞いた。(初出:NumberPLUS<90回記念完全保存版>箱根駅伝1920-2014 山梨学院大学・早稲田大学[花の2区が熱かった時代]「マヤカvs.渡辺康幸 激闘の結末」)

 先に飛び出したのは山梨学大のステファン・マヤカだった。1区区間賞の中村祐二から襷を受けると、入りの1kmを2分38秒と驚異的な速さで突っ込んでいく。2分1秒後、区間9位と出遅れた1区荒川誠から襷を受けた早大の渡辺康幸がスタートを切る。入りの1km2分45秒と、こちらも破格のスピードで3km過ぎには7人を抜き去り、見えないマヤカを追いかけていった。

 '95年第71回箱根駅伝。同学年のライバルで、学生長距離界を代表する2人のスーパーエースの勝負は、史上に残る激走となった。

 逃げるマヤカは、5kmを13分56秒、10kmを28分33秒とトラック並みの速さでぶっ飛ばしたが、権太坂に入ると苦しげに口を開け、褐色の肌には汗が光る。追う渡辺は10kmでマヤカのペースに並ぶと、じわじわと差をつめていく。20kmの通過タイムはマヤカが57分52秒、渡辺は57分38秒。残り3km、最もキツい坂道を2人は険しい表情で走る。マヤカが1時間7分20秒の区間新で襷を繋いだ、その1分半後。顔をゆがめた渡辺が、前のめりに襷を渡したとき、計時はさらに32秒も上回る1時間6分48秒を叩き出していた。

©Shiro Miyake
©Shiro Miyake

 1時間7分34秒の区間記録を12年ぶりに更新する2人の連続区間新。だがそれも、壮絶な闘いの幕開けでしかなかった。

 その後、3区で早大、6区で山梨学大、8区で早大、9区で山梨学大と、両チーム合わせて4度の逆転劇の末、山梨学大が2連覇。早大は前年に続き2位に終わった。

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photograph by Shiro Miyake

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