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「悪夢の5回は”終わりの始まり”」ヤンキースの崩壊が「必然だった」と言える理由《脆さを象徴する「守備」「走塁」の数値とは?》

2024/11/15
第5戦の試合終了の瞬間、ジャッジ、ソトら選手たちはベンチで呆然とした表情を浮かべていた
2009年以来、15年ぶりの世界一を目指した東の名門は、“まさか”のミスを連発して自滅し、シーズンの幕を閉じた。「史上最悪」と皮肉られたワールドシリーズでの敗戦。彼らに足りなかったものとは一体何だったのか――。(原題:[敗因分析]ニューヨーク・ヤンキース 崩壊は必然だった。)

 その“5回表”は、不名誉なイニングとしてニューヨークのベースボール史に刻まれるだろう。

 2024年のワールドシリーズ。ドジャースに3連敗を喫したヤンキースだったが、第4戦を制して息を吹き返したかに思えた。第5戦の初回、不振が続くアーロン・ジャッジが先制2ランを放ってムードは最高潮。その後も小刻みに加点して5-0とリードし、先発のゲリット・コールは4回までノーヒットピッチングを続けていた。

 このまま2連勝を果たせば、ワールドシリーズ史上初の3連敗からの4連勝への気運が俄かに高まっていたかもしれない。第6戦以降は敵地ロサンゼルスに戻るとはいえ、ジャッジが目を覚ましさえすれば、多くのニューヨーカーは奇跡を信じることもできていたのだろう。ところが――。

「ドジャースのようなチームに余計なチャンスを与えてはいけなかった。彼らはそれにつけ込んでくる。すべては私(の失敗)に戻ってくる。あそこでプレーをしっかり決めてさえいれば、他のミスは起こらなかったかもしれない」

 試合後、ジャッジが振り返った通り、悪夢のような5回、無死一塁から平凡な中直を落球した主砲のエラーは痛恨だった。その後、昨季ゴールドグラブ賞の遊撃手、アンソニー・ボルピが三塁に悪送球で無死満塁に。この大ピンチでギャビン・ラックス、大谷翔平を連続三振にとったコールの投球はさすがだったが、続くムーキー・ベッツに一ゴロを打たせてイニング終了かと思いきや、通算153勝の豪腕は大チョンボを犯す。なんと一塁へのベースカバーを忘れ、平凡なゴロを内野安打にしてしまったのだ。

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photograph by Getty Images

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