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<五郎丸歩&畠山健介のW解説>アルゼンチン戦は「勝てた試合」…課題として残った「LO問題」と「30人2チーム」

2023/10/12
W杯デビュー戦となったWTBフィフィタは、チームトップの突破数をマーク
決勝Tか敗退か――。天王山の戦いは、取られては取り返すの殴り合いに。だが一度もリードを奪えぬまま、優勝という目標は夢半ばで潰えた。

《畠山健介がFW目線で振り返る》職人型“リアルLO”の必要性。

畠山健介 Kensuke Hatakeyama 1985年8月2日、宮城県生まれ。'08年にサントリー入団。英ニューカッスル、米フリージャックスでプレーし、'22年引退。現在は解説者などを務める。代表78キャップ
畠山健介 Kensuke Hatakeyama 1985年8月2日、宮城県生まれ。'08年にサントリー入団。英ニューカッスル、米フリージャックスでプレーし、'22年引退。現在は解説者などを務める。代表78キャップ

 勝てた――。戦いが終わって最初に思ったことです。

 アルゼンチンは、決して良くなかった。いや、単刀直入に言うと、ひどかった。基礎的なプレーの質が低く、一貫性も乏しく、ハンドリングエラーは日本の5に対し13もありました。

 しかし、ここぞという場面、すなわち日本がソフトなミスを犯した隙を見逃さず、そこからトライを取りきる集中力が凄まじかった。開始早々の2分に許した先制トライはその典型です。

 試合全般を通じてパフォーマンスレベルは決して高くなかったものの、アルゼンチンはラインアウトとハイパントのコンテストの場面では、精度の高いプレーを披露しました。「日本を上回る身長の高さを最大限に生かす」という準備をしてきたことの表れでしょう。日本はラインアウト9本中8本成功(88.9%)とまずまずの数字を残しましたが、相当なプレッシャーを受け続け、紙一重だったという印象です。

 スクラムはマイボールの際に10本全部成功と一定の安定感を示しました。特に前半5分のファーストスクラムは、1番の稲垣啓太が少し左にスライドし、外からまくるような動きが奏功し、ペナルティを得ることができました。アルゼンチンの成功率は62.5%と、80分トータルでスクラムは日本が優位に立てたと言えるでしょう。

 この日もLOアマト・ファカタヴァが抜群のトライ嗅覚を発揮し、SO松田力也のキックも絶好調で、必死に食い下がって、前半を1点差で折り返した。十分な射程圏内で後半に入って「さあ、ここから!」というところで、逆に引き離されてしまった。

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