2大会連続のプールステージ突破のためにまず乗り越えるべきは、力勝負を持ち味とするラグビーの母国と機動力を武器とする南米の大国。対照的な両チームとの勝負の要諦を元日本代表の野澤武史氏が探る。
「今大会の組分けはチャンスです」
そう力を込めるのは、日本ラグビー協会でタレント発掘・育成部門の現場トップを務める元日本代表、野澤武史氏だ。
「世界ランキングのトップ4(愛、南ア、仏、NZ)がプールA、Bに偏っており、日本は準決勝までトップ4との対戦がありません。プールステージさえ突破すれば、初の4強進出は十分ありえます」
となると、プールステージで立ちはだかる二大強国、イングランドとアルゼンチンの撃破が極めて重要になる。
イングランドは「幹だけラグビー」だが、打倒は容易ではない。
まずは過去10戦全敗で、第2戦で激突する世界8位のイングランド。'22年末に成績不振によりエディー・ジョーンズHCが解任され、元主将のスティーヴ・ボーズウィックが指揮官に就任。しかし大会前8月の前哨戦シリーズは1勝3敗に終わり、オーウェン・ファレル主将がハイタックルで4試合の出場停止処分を受けるなど、乱調のまま本大会に突入する。
そんなラグビー宗主国のスタイルについて、オリジナルなネーミングを駆使するユニークな理論派は「幹だけラグビー」と表現した。
「今のイングランドのスタイルは、手堅い試合運びに必要な根幹部分だけが強み。彼らの場合はスクラム、ラインアウトモール、そしてハイパントとディフェンスです。ファレル主将は日本戦を欠場しますが、司令塔の彼がいても、いなくても、イングランドがやれることは変わりません」
FWのスクラム、ラインアウトを中心とした力勝負の古典的スタイル。華麗な展開など目にも鮮やかな枝葉はないという。
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