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「すげえ選手がいるな」「1日も早く追いつきたい」宮浦健人が語る“西田有志”と“覚醒のステップ”<ポーランドでの試行錯誤とは?>

2023/09/21
憧れの舞台に先に立ったのは1学年下の怪物だった。そんな中で地道に積み重ねた努力がようやく実を結ぶ。7本のサービスエースで一躍脚光を浴びた男は、いかなる想いを抱いて大舞台に挑んだのか。

 2019年、日本で開催された『FIVB ワールドカップバレーボール2019』。早稲田大バレーボール部の宮浦健人は、日本対カナダ戦の試合中継が映るテレビ画面を見つめていた。

 視線の先には、満員の観客から沸き上がる歓声と、サービスエースを何度も続ける西田有志の姿があった。カメラは青ざめるカナダ選手の表情や、対照的に、大きな声で雄たけびを上げ、こぶしを突き上げる西田の姿をとらえている。

 西田の連続サーブポイントを見ながら、宮浦は幾度もつぶやいた。

「やるなぁ」

 そして、こうも思った。

「どうしたら、あんなにジャンプできるのかな」

「どんな練習をしたらスパイクやサーブを決められるのかな」

 大学生の宮浦の目に映る西田は、まぶしく、輝いていた。

 アスリートの中には、同じ競技やポジションの選手の活躍を見たくないという者もいるが、宮浦は言う。

「自分は普通に見ていましたね、ハハ。西田選手は若くしてVリーグ入りをして、プロとしてプレーしてきた分、高いレベルを経験していますし、だからこそものすごいスピードで成長したんだと思います。もちろん、最初は悔しい気持ちもありましたけど、西田選手の活躍は刺激になり、『一日も早く追いつきたい』と思いました。やはり自分より1歩2歩先を行っているという感覚のほうが強かったです。彼のプレーを参考にもしたし、勉強にもなりましたから」

代表に選ばれなかったのは「単純に力不足だった」。

 1999年2月生まれの宮浦と、1学年下の西田が最初に出会ったのは2017年、ユース(U-19)代表として招集されたアジアユース大会の合宿だった。一目、その動きを見た瞬間に、宮浦は西田のプレーの豪快さにくぎ付けとなった。

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photograph by Yuki Suenaga

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