#1033
巻頭特集

記事を
ブックマークする

[ベスト8進出の理由]バレーボール男子「世界水準の最高のチーム」

2021/08/14
主将の石川(左から4人目)は気迫を前面に出してチームを鼓舞し、存在感溢れるプレーを見せた
準々決勝でブラジルに敗れるも、世界1位を相手に互角に渡り合った。その躍進の陰には'17年に招聘されたフランス人コーチの存在がある。世界を知る名将が示した技術と戦術は、日本をどう変えたのか。

 男子バレー日本代表が五輪で29年ぶりに勝利を挙げた。

“前回”勝利した1992年バルセロナ五輪以後、3大会続けて出場を逃し、16年ぶりに出場した北京五輪も、1勝もできず1次リーグ敗退。その後2大会続けて出場権を逃がす一方、女子バレーはロンドン五輪で28年ぶりの銅メダルを獲得した。

 女子は強いけど、男子は勝てないから面白くない。

 飽きるほど聞いた下馬評を、遂に覆した。

 開幕戦のベネズエラに続いてカナダにも連勝。さらには互いに「勝てば準々決勝進出」という重圧の中で迎えた最終戦のイランにもフルセットで勝ち、予選ラウンド5試合は3勝2敗。ベスト8進出を果たした。

 驚かせたのは、結果だけではない。

 高さもキャリアも上回る海外勢に引けを取らない強烈なジャンプサーブや、ドカン、と心地よく叩きつけられるスパイク。さらには「打つ」と見せかけてヒョイとそこから別のスパイカーにトスを上げる、フェイクセットで相手ブロッカーを欺く。

 どんな相手に対しても「何かやってくれるのではないか」という期待を持たせた。

 男子バレーはなぜこれほど変われたのか。

 その疑問を紐解くうえで、欠かせぬ存在がいる。2017年に中垣内祐一監督と共に就任したフィリップ・ブランコーチだ。

 かつてフランス代表としてソウル五輪に出場し、引退後は母国の監督を務めた。'04年にはアテネ五輪に12年ぶりの出場を果たし、その後もポーランド代表でコーチを務め世界一に導いた。

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by AFLO

0

0

0

前記事 次記事