前回は“ダブル・フェラーリ”と称賛された両ウィングが日本の大きな武器となった。今回は誰がポイントゲッターとなるのか。世界を知る司令塔が攻撃の形を見定める。
中で崩して、外のウィングがトライを取り切る。これが日本代表の持ち味です。
今大会に臨むジャパンのアタックは、前回の日本大会とコンセプトは一緒です。4年前だったら「ダブル・フェラーリ」と呼ばれた福岡堅樹選手と松島幸太朗選手という一発で仕留めてくれるウィングがいた。彼らにボールを回せば、ゲインする確率は高く、本当に信頼感がありました。では、今回は誰がカギになるでしょうか。
7月から8月にかけての6試合では、ジョネ・ナイカブラ選手とセミシ・マシレワ選手がウィングで多用されていました。ふたりの特長を考えると、日本代表がディフェンスよりもアタックを重視しているのがうかがえます。事実、強化試合6戦でマシレワ選手が4トライ、ナイカブラ選手が3トライを挙げて、得点源になりました。
特に、トンガ戦で前半20分にナイカブラ選手が取ったトライは素晴らしい設計、見事な実行力、そしてウィングの決定力を証明してくれました。敵陣22m付近でのスクラムから、9番の齋藤直人選手が12番の長田智希選手へとパスアウト。ユニークだったのは、そのあとにフォローに走った齋藤選手へパスを戻したことでした。そして彼が走りながらマシレワ選手へと長いパス。相手ディフェンスは混乱したと思います。ボールがジグザグに動いていく感じでしたから。
この齋藤選手のパスにはしびれましたね。僕には走りながら、あんな長いパスを放ることは出来ないんで(笑)。これは齋藤選手の技術を生かしたアタックで、W杯でも大きな武器になるでしょう。
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photograph by Asami Enomoto