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「浮き上がるんじゃない、吹き上がる」現役最年長野手・ヤクルト青木宣親が語るMLBの魔球【打者目線のサイ・ヤング賞投手】

2023/07/10
メジャーの地であらゆる英俊豪傑と対戦してきた打者たちから見た、最強のサイ・ヤング賞投手とは――。現役最年長野手が、3人の剛腕から受けた“衝撃”を語った。

 青木宣親は2012年から'17年まで、ミルウォーキー・ブルワーズを皮切りに6シーズン、メジャーリーグで活躍。メジャー通算では2割8分5厘の打率を残した。

 その間、サイ・ヤング賞受賞経験のある投手との対戦は18人にも及ぶ。「リストを見て驚きましたよ。こんなに対戦してたのかって」と青木は振り返るが、対戦した投手で、印象に残っている相手がパッと3人浮かぶという。

「サウスポーのクリフ・リー。右投手ではジェイク・アリエッタとマックス・シャーザー。いまでも球の軌道が甦ってくる」

 そこで早速、リーから話を聞いていくことにする。リーは'08年、インディアンス時代に22勝3敗という成績でサイ・ヤング賞を受賞した。青木は、フィリーズ時代のリーと対戦し、14打数4安打とそれなりの結果を残しているが、対戦した後はいつも「やられたな」と感じていたという。

「クリフ・リーは普通の投手にはない“角度”を持ってたね。まず、踏み出す右脚が一塁側にインステップしてくるから、それだけでもボールの出所が見にくい。左打席に立つ僕からすると、背中の方からボールが来る感じ。しかも、腕が真上から出てくる。あれはちょっと見たことのない角度だった。しかもそこから曲がるし、落ちるし、当然のことながら真っ直ぐもいい」

 リーは質の高い球種を数種類持っていただけでなく、青木は自分の傾向が研究されていると感じていた。

「メジャーの投手は、クリーンナップの研究はしっかりとやってます。でも、僕のようなリードオフタイプや、下位打者になるとそこまで徹底して研究しているというわけじゃない。ところが、クリフ・リーの配球には研究のあとが感じられて、正直、打席でも子ども扱いされた記憶があるんです」

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photograph by Wataru Sato

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