サイ・ヤング賞4度受賞のレジェンドが語る、“投手論”と“大谷論”とは。
グレッグ・マダックス氏は野球選手には珍しいメガネ姿と理知的な口調、類い稀な分析力で、現役時代には『プロフェッサー(教授)』の異名をとったメジャーリーグの歴史に残る名投手だ。
サイ・ヤング賞を4年連続受賞、ゴールドグラブ賞を18度受賞、ワールドシリーズ制覇など功績を挙げたらキリがないが、キャリアを通して目を引くのは四球の少なさで、先発した740試合中236試合を無四球で投げ終え『精密機械』というニックネームも持つ。
マダックス氏の投球を支えたのは「ロケーション(コントロール)とムーブメント(ボールの微妙な変化)」だ。
「高校時代のコーチに教わった投球哲学だ。速い球を投げてもコントロールが悪ければ意味がない。コントロールとムーブメントがあれば打ち取れると教わった」
その哲学もあり、1988年から2004年まで17年連続で15勝以上挙げている。
「自分の投球の柱はツーシームで、それにチェンジアップ、シンカー、カーブなどの変化球が持ち球だった。ツーシームを膝上に投げた後、同じコースにチェンジアップを投げる。打者はホーム手前まで球種が読めないから手を出してくれた。(勝ち星を重ねられたのは)走者を出した後に打ち取る投球がうまかったのだと思う。走者が一塁ならゴロを、二塁ならフライをというようにね。野球は27個のアウトを取れば終了だけど、アウトの取り方はフライでもゴロでもいいんだ。もちろん速い球で全員を三振に取れたら最高だけどね」
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