成人式で故郷に戻り、初々しい表情を見せたかと思えば、多忙なオフの中でも練習を重ね、ベテランのような境地を語る。「クリスマスの閃き」を手にした規格外の男は、大人らしさも子供らしさも糧に、堂々とプロ3シーズン目に挑む。(初出:Number870号掲載の[野球翔年・新連載第1回拡大版]大谷翔平「オトナの僕と、コドモの僕と」)
去年のクリスマス。
大谷翔平のもとへ、突然、サンタクロースがやってきた。
「クリスマスに、練習をやっていたんですけど、その日、『あっ、これっていいかもしれないな』というものがあったんです。もしクリスマスだからって練習を休んでいたら、その閃きには出会えなかった。そう考えると、練習を休むことの怖さってありますよね。そうやって自分がもっとうまくなれたかもしれない可能性を、自分で潰してしまうわけですから……」
クリスマスに降ってきた閃きとは、いったい、なんだったのか。
「いや、まぁ、それはね(笑)。ピッチングの方の閃きですけど、まだこれからだと 思いますし……」
もちろん、明かしてくれるはずもない。
おそらくプロ3年目が終わった頃、その 閃きが何だったのか、彼は詳らかにしてく れるはずだ。そういうオトナっぽい言動を 『大谷らしい』と周りに思わせるだけの説 得力が、彼には備わっている。まだ 20 歳だ というのに―。
「うーん……どうなんですかね。自分がオトナかどうかは、すぐにはわからない。ある程度、年齢を重ねていく中で感じるのかもしれませんけど、今はまだ野球しかやってませんから、自分でオトナになったとは思わないですね」
プロ1年目、19歳の大谷が、ピッチャーとして3勝、バッターとして3ホームランを打ってもなお、二刀流を批判する声が絶えなかったというのに、2年目の去年、11勝を挙げて10本のホームランを放つや、風向きは一気に変わった。
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photograph by Kei Taniguchi