常に対峙し続けた二刀流に対する疑念や先入観は、連日のパフォーマンスと声援の前に消え去った。ケガを乗り越え、4年目にして大輪の花を咲かせた熱狂の主人公が、現在の胸中をたっぷりと語った。(初出:Number1035号[特別インタビュー]大谷翔平「常にさらに新たな場所へ」)
――それにしても、歴史的なシーズンを送っていますね。8月までにホームランが42本でメジャートップ、90打点はリーグ6位、盗塁も22でリーグ3位です。さらにピッチャーとしても19試合に先発して8勝1敗、防御率は3.00、奪三振は127。オールスターでは“1番DH”で“先発ピッチャー”と、栗山英樹監督(ファイターズ)の『翔平は2人いる』を地で行ってしまいました。大谷さん、メジャーでいったいどこを目指して突き進んでいるんですか。
「まぁ、他の人とやっていることが違いますから。二つやるという、ちょっと違うことをやっているので、必ずしも比較になるわかりやすい数字を出せるわけではないんですよ。今年、このまま順調にいけば、おそらくキャリアハイの数字は残ると思いますし、逆に言えばそれがこれからの自分の中の基準になるんじゃないですかね。それを常に更新し続けていくことが目指す数字ということになっていくのかなと思います」
――やはり意識するのは通算ではなく、1シーズンごとの数字ということなんですね。実際、今年の開幕前、『二刀流としてどんな数字をイメージしているんですか』と訊いたとき、投打ともに具体的な数字を挙げてくれたことを覚えていますか。
「言いましたっけ?(笑)」
――「バッターとしては相手が左ピッチャーでも出られれば30本のホームランはいける、ピッチャーとして25試合に先発できれば15勝もいける」と……しかも「15勝して30本打ったら、ほとんどMVPクラスの数字ですけどね」と笑っていました。
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photograph by Nanae Suzuki