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「リードしても終わらない予感が」松坂大輔が振り返る「PL学園」との延長17回の死闘~連載「怪物秘録」第19回~

2023/02/11
夏の甲子園ベストゲームの呼び声高い'98年の横浜対PLは延長に突入。突き放しては追いつかれのシーソーゲームで、再試合も頭を過るなか、延長17回ついに勝負が決する。

 西の横綱・PL学園と東の横綱・横浜が激突した準々決勝。立ち上がりに失点を喫した松坂大輔は徐々にギアを上げていく。一方のPL学園は背番号10の左腕、稲田学を先発のマウンドへ送り出し、4-4の7回、エースの上重聡へとスイッチした。

◆◆◆

 聡が出てきたのは7回だったかな。試合も終盤に差し掛かって、僕もやっとエンジンがかかってきた頃でした。4点も取られて、普通だったらもう手遅れですよね。でも、みんなが早い段階で打って追いついてくれたおかげで助かりました。

 改めて思うのは、あの試合がもし第2試合とか第3試合だったら、3安打くらいに抑えて完封していたんじゃないかと……いや、勝ったから言えるんですけどね(笑)。僕にとって朝が早いというのは一番の悪条件なんです。唯一の弱点が朝イチだった。結果的にああいう(延長17回)展開の試合になって、それが名勝負としてみんなの記憶にも残って、しかも勝ったから、それはそれでよかったのかもしれません。ただ僕としてはもっといいピッチングをして、サラッと勝ちたかった。でも、そうならないのが高校野球のおもしろさなんでしょうね。

 7回裏に1点を取られて、8回表に横浜が追いついて、5-5で延長に入ります。そのあたりからやっと目が覚めて、身体が動くようになってきた。9回を投げ終えたときにはけっこうな球数を投げていたと思いますが(139球)、投げるたびにボールに勢いを感じるようになっていました。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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