試合中のプレー選択や、ミーティングでの発言等々……。ピッチ内外を問わず、キャプテンには多種多様な重圧が常にのしかかる。トップ選手が集結する日本代表ではどのようにしてリーダーをサポートしているのか。主将経験もある桜の戦士がその実情を明かす。(初出:Number1020号堀江翔太&大野均「ジャパンの躍進を支えるフォロワーシップって何?」~2人合わせて164キャップ~)
1対14――。
ラグビー日本代表が示した、強いチームにおける役職の黄金比である。
15人全員がキャプテン。そんなチームがラグビーの理想とされる。が、日本代表の場合は似ているようで少し違った。
日本代表で長年2番を背負い続けるフッカーの堀江翔太が言う。
「全員がキャプテンだと思っているようなチームだと、それぞれが別々のことを言いかねないじゃないですか。それよりも大事なのは、キャプテンの判断を14人がどれだけ信じて同じ方向を向けるかだと思うんです。僕らは意見が割れても、最終的には、リーチの意見を尊重しようという空気がありましたから」
1人のキャプテンと、14人の副キャプテン。2014年4月からリーチマイケルが主将を務めるようになった日本代表は、たとえるなら、そんなチームだった。
キャプテンは、いい意味で大雑把な方が向いている
その14人の筆頭格が堀江だ。'14年にリーチが主将に就任する前、じつは堀江は、監督のエディー・ジョーンズからキャプテン就任の打診を受けている。堀江は帝京大でも、パナソニックでも主将を務めた。実力を加味しても当然のオファーだった。ところが、堀江は断った。
「僕は本来、キャプテンタイプじゃないんです。キャプテンになっちゃうと、自分以外のことも目に入ってしまって、自分のプレーに集中できない。なので、そのときはリーチを推薦しました。キャプテンは、リーチみたいにいい意味で大雑把な方が向いている。日本人って、ついつい気にしちゃうでしょう。僕もそうなんですけど」
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Aki Nagao