記事を
ブックマークする
「10~20mの速さはチーム内で一番」LOアマト・ファカタヴァの原動力は「優しさ」にあり<チリ戦でPOM、アルゼンチン戦で劇的トライ>
眩しいほどに輝いていた。
初出場したラグビー界最大の祭典、その初戦でチリ代表から2トライを奪い、プレイヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)を受賞したのだ。
「みんなのプレーが素晴らしかったです。興奮しました。仲間の存在なしには(POM受賞は)語れません」
栄誉に浴した感想を問われ、チームの一員であることを殊勝に強調した男の名はアマト・ファカタヴァ。トンガ出身の28歳だ。
日本にとって大会初トライとなった開始8分の一撃は、鮮烈なスピードが光った。
7点を先制されたジャパン。敵陣でSH流大が仕掛け、守備を引きつける。生まれたスペースへ走り込んだ背番号5が、ロックとは思えぬ加速力でディフェンダーを振り切り、スタジアム・ド・トゥールーズに歓喜を呼んだ。
それもそのはず、空中戦の強さが求められるロックは実は本職ではない。所属先のリコーブラックラムズ東京では、突破力が求められるFW第3列(FL、No.8)で起用されているのだ。
「10~20mのスプリントの速さはチーム内で一番では」
そう話すのはブラックラムズのSH高橋敏也だ。195cm、118kgの巨漢としては異次元のスピードを見込まれたのだろう、'20年の国内リーグデビューは先発ウィングで記録している。トライゲッターとしての期待は、日本代表においても同様だ。
大学3年の時から日本代表でプレーしたいと思っていた。
チリ戦、7点リードの前半40分。
日本は敵陣ゴール前のラインアウトから、アマトを最後尾とする変則モールを組んだ。一般的にモール最後尾はスローイングをするフッカーだが、アマトの決定力は武器になる。そしてチームが苦戦していたモールで自身2本目のトライを記録。これは前半終了直前の重要なチーム3本目となり、最終的に42-12となる初戦白星に貢献した。
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています