#1017
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早稲田大学・渡辺康幸×竹澤健介「瀬古さんの怒気に臙脂のフェロモン」~Wのエース対談~

2020/12/29
(左から)竹澤健介、渡辺康幸
“日の丸”を宿命づけられた早稲田のエース。ランナーとして一時代を画し、長距離界の指導者となった2人の正統継承者が、その重みと伝統、世界と戦うためのビジョンと現状を存分に語り合った。(初出:Number1017号早稲田大学・渡辺康幸×竹澤健介「瀬古さんの怒気に臙脂のフェロモン」~Wのエース対談~)

 2004年から母校早稲田大学の監督を務め、'10年度には大学駅伝三冠を果たし、現在は住友電工を率いる渡辺康幸。渡辺の指導の下'08年北京五輪に現役学生として出場、現在は大阪経済大学の指導者となっている竹澤健介。今回の対談では、まずはそれぞれが抱く早稲田のエース像、その矜持と伝統について聞いた。

渡辺 それは在学中に日の丸をつけるということですね。僕にとっては瀬古利彦あっての早稲田なので、瀬古さんのようにマラソン代表になれれば理想的です。僕はトラック代表で終わったけど、それでも箱根駅伝で優勝できて、日の丸もつけられて、最低限エースの役割は果たせたのかなとは思っています。

瀬古利彦 モスクワ五輪内定後の’80年、瀬古は最後の箱根を快走 ©Getsuriku
瀬古利彦 モスクワ五輪内定後の’80年、瀬古は最後の箱根を快走 ©Getsuriku

竹澤 僕にとってのエースは完全に渡辺さんでした。物心ついた頃、初めて箱根駅伝を見たのが、渡辺さんと山梨学院大のマヤカさんが走っているところで。アフリカ系の選手はとんでもなく強いイメージだったのに、渡辺さんのほうが速い。「日本人でも勝てるんだ。すごい!」っていうのが残りました。どんな時、どんな場所で襷をもらっても、期待通りの走りをする。それが僕の抱く早稲田のエース像ですね。

渡辺 早稲田のエース=テレビで華々しく活躍して負けちゃいけないんだと。瀬古さんは修行僧のイメージでしたけど,僕は今風に活躍したくて角刈りも嫌で髪の毛を伸ばしました。ただ、襷を貰えば全力で走って、トラックでは1番になる。そういうマインドでした。世界ジュニアなどを経験して国内のレベルは低いと知り、また外に出て行った。駅伝はオマケみたいな。

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photograph by Takuya Sugiyama

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