前回の箱根駅伝3区を驚異の59分台で駆け抜け、世界レベルの韋駄天ぶりで駅伝ファンを驚かせた。チームメイトからは「紳士だ」と評判の留学生の素顔に迫った。(初出:Number1017号 イェゴン・ヴィンセント「将来の夢は軍人だった」~最強留学生の秘密~)
11月下旬のよく晴れた風の冷たい日だった。埼玉県坂戸市にある東京国際大学駅伝部の施設でインタビュー相手を待ちながら、僕は前々から不思議に思っていたことを、その日の取材に付き添ってくれた駅伝部の中村勇太コーチにぶつけてみた。
「前回の駅伝で、あんなとんでもない記録を出したのに、あまりメディアに登場しなかったのはチームの方針だったんですか」
コーチの説明はこうだった。
「いえ、うちの大学は、シーズンが終了したらすぐに選手を国に帰してあげるんです。ホームシックもマックス状態なので(笑)」
そんな話をしていると、白いキャップをかぶった長身の男、イェゴン・ヴィンセントが姿を現した。前回の箱根駅伝3区で、従来の記録をなんと2分1秒も短縮する59分25秒で区間新をマークしたケニア人留学生はファンや関係者を驚嘆させた。
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photograph by Atsushi Kondo