まずはこの度、吉田義人さんの自伝の書評を書かせていただくことを光栄に思う。そう書いてしまうくらい、私の彼への想いは深い。憧れの先輩だったこともさることながら、互いに母校の監督になり、大学ラグビーを盛り上げるライバルとして、仲間として戦った時間は、私にとって貴重な財産だからだ。
明治大学での現役時代、ボールを持ってからの加速力や、トライするときの弾け飛ぶ力強い姿に魅了された人は、私だけではないはずだ。
彼が主将を務めた'90年の全国大学選手権は、多くの人の記憶に残っているだろう。1回戦の大阪体育大学戦、苦戦した2回戦、京都産業大学戦、そして決勝の早稲田大学戦の描写は、まるで同じグラウンドに立ち、共に試合をしているような気持ちになり、息が止まるような緊張感を味わいながら読み進めた。自伝的な内容に加え、彼の人生に多大な影響を与えた北島忠治氏への感謝の気持ちが随所に溢れ出ているのも、この著書の魅力である。
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