ゲーム・チェンジャー(試合の流れを変える選手)。スポーツファンにとってお馴染みの単語は、「常識を覆すキーマン」という意味で用いられるケースも多い。
大谷翔平は典型的な例だ。分業化が進んだ現代野球界で二刀流を体現。昨年12月にはドジャースと契約し、10年で年俸総額7億ドル(約1015億円)に達するスポーツ史上最高額の待遇を手にした。
かくして取り沙汰されたのが、巨額の投資は回収できるのかというテーマだった。むろんドジャースは7度ワールド・シリーズを制覇した名門であり、球団価値でもニューヨーク・ヤンキースに次ぐMLB2位を誇る。とはいえ7億ドルは、球団買収額の3分の1にも匹敵する。台所事情を不安視する声が上がったのは当然だろう。
大谷の超大型補強は「お釣りが来る」。
ところが現地関係者は、異例の大型補強はペイするどころか、お釣りが来るという見方をしている。根拠として挙げられるのは、新たにもたらされる収益だ。スポーツチームでは、観戦チケット販売、スポンサーシップ、マーチャンダイジング(物販)、放映権料が主な収入源となっている。これらのチャネルを通じて、ドジャースは昨季5億6500万ドル(約819億円)を稼いだが、大谷の獲得を契機に、収益性を高めていくことが期待できるという。
まずはチケット収入。ドジャースはホームのドジャー・スタジアムで、昨年81試合を開催。384万人もの観客を集め、300億円近くを稼ぎ出した。しかも10年連続でMLB最多の動員を記録してきただけでなく、「ダイナミック・プライシング(需要に応じてチケットの価格が設定される仕組み)」も採用している。たしかに人気球団で固定客が多くついているが故に、観客数の大幅な増加が見込めるわけではない。だが大谷が脚光と人気、トロフィーを集め続ければ、チケット販売の収益がさらに増えていくのは明らかだ。
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