甲子園の風BACK NUMBER
「県内出身選手で甲子園上位」は不可能…なぜ今、髪型自由の“大阪の高校”に有望生徒が集結したのか? 部員120人、元銀行マンの監督、1人部屋の寮
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/09/23 11:02
地元選手中心の高校は今、苦境の只中に…
そんな学校が今、なぜ人気なのか――。恵まれた練習環境と、プライベートの空間が確保された寮や自由な部の雰囲気がその理由だ。
辻盛監督が言う。
「最近の中学生の特徴として、甲子園に興味のない子が増えている。もちろん、出場できたらそれに越したことはありませんが、甲子園に出場できるかどうかよりも、甲子園よりも上の舞台を目指している自分が2年半で成長できるかどうか、が判断基準となっている」
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大阪の市街地にも近い大阪学院大高の練習施設(2022年に完成)は、日本一といっても過言ではない。黒土の内野に全面人工芝の外野という美しいグラウンドに加え、巨大な屋根付きの練習施設も併設されている。そして、約30人の球児が暮らす寮は一人部屋であり、プライベート空間が確保されている。
髪型は自由で、先輩・後輩の厳しい上下関係もなければ、携帯電話の使用に関する細かなルールもないし(練習中も使用可)、SNSもOKだ。22時に点呼が行われるものの、門限はない。
しかし、近年、高校野球で起きる不祥事の多くは寮内での出来事であり、スマホを使ったSNSのトラブルも多い。まして同校は1、2年生だけでも120人という大所帯だ。ある程度の規律を設けなければ、無法地帯となるのではないか。
規律は不要? 辻盛監督の考え
「部員が多いと問題が起きやすいというイメージを持つ人も多いですが、むしろうちはトラブルが少ないように思います。30人しか部員がいなければ、3分の1となる10人がベンチには入れません。対して、120人の部員がいるうちでは、部員の6分の5にあたる100人がベンチ入りできないんです。選手間のいざこざが起きにくく、メンバー選考に不満を持つ選手や保護者も少なくなる。SNSのトラブルについても、練習や学園生活、寮生活が充実していれば、そもそも問題になるような動画も撮らないですし、それが出回ることもないのではないでしょうか」
能力の高い選手に、恵まれた練習環境――大阪学院大高に足りないものがあるとすれば、やはり甲子園の出場実績だろう。
「本当にそれに尽きます。他の都道府県の学校に行っていたら、1度や2度は甲子園に出場していたであろう選手が、うちに来てくれています。それなのに甲子園に出場することなく、卒業させるのは申し訳ないこと。とりわけ林は何十もの学校から誘われた逸材ですから」
今年の夏も大阪大会4回戦で近大付に0対7の7回コールドで敗れた。なぜ勝てないのか。
〈つづく〉

