甲子園の風BACK NUMBER
「県内出身選手で甲子園上位」は不可能…なぜ今、髪型自由の“大阪の高校”に有望生徒が集結したのか? 部員120人、元銀行マンの監督、1人部屋の寮
posted2026/09/23 11:02
地元選手中心の高校は今、苦境の只中に…
text by

柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph by
Hideki Sugiyama
この数年、大阪の高校野球で注目を集めている私学がある。今春のセンバツを制した大阪桐蔭、今夏の代表校である履正社という二強に続く第2勢力、大阪学院大高だ。
「異色の経歴」監督は保険代理店社長
同校を指揮するのは、元銀行マンにして保険代理店「ライフメトリクス」の社長を務める辻盛英一監督。保険のトップセールスマンとして活躍するかたわら、2010年から2022年まで大阪市立大学(現・大阪公立大学)の監督を務め、2023年春から現職に就いた。大阪で監督をする以上、倒さなければいけない大きな壁が大阪桐蔭であり、履正社だ。辻盛監督は常々、こう話している。
「大阪桐蔭には以前のような絶対的な力はないと思っています。桐蔭を桐蔭たらしめてきたのは、圧倒的なスカウティング(選手勧誘)力です。ただ、スカウティング力にも翳りが見え始めていて、苦戦はしている」
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大阪学院大高のOBには往年の名投手・江夏豊がいて、1996年春のセンバツにも出場している。しかし、甲子園の土を踏んだのはその一度きり。夏の選手権が100回の記念大会を迎えた2018年夏には北大阪大会決勝まで進出し、聖地まであと一歩に迫ったが、大阪桐蔭の最強世代を前に、2対23と大敗した(同年、大阪桐蔭は春夏連覇を達成)。
甲子園実績の乏しいこの学校がなぜ話題を振りまくのか。打倒・大阪桐蔭を掲げる監督のバイタリティだけが要因ではない。それはスカウティングに成功し、争奪戦が繰り広げられるような全国のスーパー中学生を入学に導いているからだ。
「部員120人」スーパー中学生も入部
新チームのエースは北海道出身で、日高シニアに在籍した中学時代にはU-15侍ジャパンにも選出された右腕・林将輝。173センチと小柄ではあるものの、中学3年生の冬の段階でMAXは146キロに達し、大阪桐蔭をはじめ全国の強豪校が声をかけた逸材であった。

