甲子園の風BACK NUMBER
「県内出身選手で甲子園上位」は不可能…なぜ今、髪型自由の“大阪の高校”に有望生徒が集結したのか? 部員120人、元銀行マンの監督、1人部屋の寮
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柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/09/23 11:02
地元選手中心の高校は今、苦境の只中に…
入学から1年半が経過し、公式戦で記録したストレートの最速は153キロで、直近の関東遠征では練習試合で対戦した強豪私立の監督たちが林を「世代ナンバーワンになり得る逸材」と口を揃えたという。このまま成長を維持できれば、今夏の甲子園で横浜(神奈川)の織田翔希が記録した156キロという甲子園最速記録の更新だって夢物語ではない。
投手陣には林のほかに高知中学時代に全国大会で日本一に輝いた143キロ右腕・大原功大がいて、打者では強肩捕手のスイッチヒッター・小柳葵や元福岡ソフトバンクジュニアの竹下瑛人らがいる。彼らのような有望中学生が進学する噂を耳にして、大阪学院大高に進学してきた選手も多く、夏に引退した3年生を除いても、部員は総勢120人という大所帯だ。
いつの時代も有望な中学生のスカウティングに成功した学校が、数年後の甲子園の覇者として君臨してきた。
「地元チームは苦境」スカウト合戦の時代
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昭和の時代にはPL学園がスカウティングに力を入れていて、井元俊秀という伝説のスカウトが全国を飛び回り、有望な中学生を大阪府富田林市に集結させた。PLの時代が終わっても、全国の私学がPLを真似て都道府県の境なく、選手を集めて強化を図った。
かつて野球留学は忌み嫌われることであり、東北の新興校が積極的に近畿圏の球児を集めて強化を図り、大阪第2代表などと揶揄されたこともあった。だが、全国の私学が少子化に頭を悩ませる現代には野球留学そのものが当たり前になり、批判の声は減っている。その結果、往年の池田(徳島)や2018年夏に決勝まで勝ち上がった金足農業(秋田)のように、学校所在地の出身者だけで甲子園を勝ち上がることは不可能な時代へと突入した。
熾烈なスカウト合戦が行われている令和の高校野球において、中学生の間で圧倒的な人気を誇るのが横浜であり、硬式野球の日本代表クラスだけでなく、福岡県北九州市出身の織田翔希のように中学まで軟式野球に励んだスーパー中学生も受け入れている。この横浜と、2010年代に入ってから高校野球に一時代を築き、プロ野球界への輩出や有名私学への進学でも他校を圧倒する大阪桐蔭が、高校野球ヒエラルキーのティア1(最上位層)となる。
そして東西の横綱に続くティア2に位置するのが、今夏の甲子園を制した智弁和歌山や準優勝校の健大高崎(群馬)であり、県外選手に門戸を開放した花巻東(岩手)もそこに加わった。さらにティア3に入るのが仙台育英(宮城)や山梨学院であり、大阪学院大高もこのあたりに分類されるだろう。
なぜ大阪学院大高に集まる?
しかし、スカウティングに成功している他の学校に比べ、大阪学院大高は甲子園の出場実績では圧倒的に劣る。2024年春の大阪大会で快進撃を見せた時の主将である今坂幸暉(ともき)がオリックスに育成1位で入団してはいるものの、開校後間もない時期の江夏豊を除いて著名なプロ野球選手を輩出しているわけでもない。


