甲子園の風BACK NUMBER
「あの試合が終わって『夏も優勝しようや』と」高校野球“史上最高の試合”箕島-星稜延長18回の死闘で起きたこと「星稜の思いに報いたい」
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元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byJIJI PRESS
posted2026/08/27 06:02
高校野球史上最高の試合と呼ばれる箕島対星稜の“延長18回の死闘”。スコアボードが足りなくなって……
史上3校目の春夏連覇
18回裏、箕島の最後の攻撃。箕島はふたりが続けてフォアボールを選び、五番・上野敬三のタイムリーでサヨナラ勝ち。時計の針は19時56分を指していた。試合時間は3時間50分だった。
堅田が208球、石井が257球を投げた激闘は、センバツ王者の箕島の勝利で終わった。
「昔の甲子園の試合は1時間20分、30分で終わるのが普通でした。本当にいろいろなことを教えてくれた試合でした」
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球審をつとめた永野元玄はホームベースを挟んで整列した両チームの選手に握手を促し、敗戦投手となった堅田にはボールをそっと手渡した。
堅田は高校卒業後に社会人野球の松下電器でプレーしたあと、審判として甲子園に戻ってくることになる。
星稜との激闘を経て「本気で優勝したい」と思った箕島の選手たちは、準々決勝で城西(東東京)に4対1で勝利、準決勝では横浜商業(神奈川)に3対2で競り勝った。最後に、浪商(大阪)を下して決勝に進んだ池田(徳島)を4対3で倒して、史上3校目となる春夏連覇を果たした。
僕は甲子園の土を持っていない
「僕たちは本当に、甲子園での勝利にこだわってなかったというか、『勝ったら勝ったやし、負けたら負けたやし』という感じでした。優勝できてホッとしたというのが本当のところ。結果として春夏連覇を達成しましたけど、それを目指したというよりも『当たり前のことが起こった』ように感じていました。偉そうなことを言うようですけどね。負けないチームだったので、そういう感覚だったんですよ。でも、それが変わったのが星稜戦でしたね。延長18回を経験したことで勝利への意識は高くなりました」
箕島のエースとして甲子園で通算16試合に登板した石井の成績は14勝1敗だった。これは歴代2位の勝利数だ。
「僕は甲子園の土を持っていないんですよ。2年生の時には『来年がある』と思ったし、ありがたいことに3年生では負けることがなかった。甲子園の土は、負けた高校が持って帰るもんやと思っていました」
センバツ王者として夏の甲子園に戻ってきた箕島は無敗のまま聖地を去った。
〈つづく〉


