甲子園の風BACK NUMBER
「あの試合が終わって『夏も優勝しようや』と」高校野球“史上最高の試合”箕島-星稜延長18回の死闘で起きたこと「星稜の思いに報いたい」
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元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byJIJI PRESS
posted2026/08/27 06:02
高校野球史上最高の試合と呼ばれる箕島対星稜の“延長18回の死闘”。スコアボードが足りなくなって……
高校野球史上最高の試合の攻防
星稜は1979(昭和54)年春のセンバツに出場したが、川之江(愛媛)に初戦で敗退。夏の甲子園では2回戦で宇治(京都)を下していた。北信越で頭角を現してきたチームだが、春夏連覇を目指す箕島が有利だと思われていた。
両校の対戦がのちに「高校野球史上最高の試合」と呼ばれることになるとは、甲子園球場にいた選手、監督、観客の誰も思わなかったはずだ。
両校エースの好投により、1対1のまま、両チームともに譲らず、延長戦に突入した。ここで照明が点灯、ナイトゲームになったことで一層、特別なムードが高まった。
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30.6パーセントという驚異的な視聴率を記録するこの試合のひとつの山場が12回表に訪れた。
ワンアウトから星稜の六番打者、1年生の音重鎮(中日ドラゴンズ、広島東洋カープ)がヒットで出塁。フォアボールで一、二塁となったあと、箕島のセカンド・上野山善久がエラーをして1点が入る。その後、ワンアウト一、三塁で星稜がスクイズを仕掛けたが、失敗。追加点のチャンスは潰えた。
「ホームランを打ってきます」
その裏の攻撃、あとがなくなった箕島の打者が簡単に打ち取られてツーアウト。打席に向かう前に、一番打者の嶋田宗彦(阪神タイガース)が尾藤監督に「ホームランを打ってきます」と宣言した。
キャッチャーとして石井を巧みにリードする嶋田は勝負強い打撃に定評があった。
堅田が投じた2球目のカーブを力いっぱいに振り抜くと、打球は本当にレフトのラッキーゾーンに飛び込む同点ホームランとなった。
14回裏、また試合が動く。箕島の森川康弘がヒットで出塁。送りバントで二塁に進んだあと、相手のスキを突くディレードスティールを成功させた。ワンアウト、三塁。ヒットでも犠牲フライでもスクイズでも暴投でも、サヨナラとなる状況になった。
しかし、ここでふたつ目の「まさか」が起こった。12回表にスクイズを失敗したサードの若狭徹がボールを持ったままベース近くに立っていた。堅田にボールが渡ったと思った三塁走者の森川がベースを離れた瞬間にタッチアウト! “隠し玉”でまたチャンスが消えた。

