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侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
WBCで浮上した“日本プロ野球の問題点”…アナリストが指摘「情報戦で負けていた」「超投高打低の調整は急務」じつは韓国よりも低かった“あるデータ”
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曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/30 11:27
ベネズエラ戦で最後の打者となり、グラウンドを去る大谷翔平。WBC後、多くの選手や識者が日本球界への提言を発している
――やはり近年の「超投高打低」は影響しそうですか。
宮下 そこの調整は急務だと思います。標準的な基準にするだけで、投手の傾向も変わってくるので。そうなれば、打者側の意識も変わる。一例としてNPBがラビットボールを使用していた時代、「打高」のピークといえた2004年のセ・リーグは、三振の割合が昨季よりも多かったんです。バットに当てさせないこと、三振を奪うことのインセンティブが現在よりも高かったことの証左と言えます。
ピッチクロックだけではない“ガラパゴス環境”
――メジャーリーガーの数の違いがそのままチーム力の差に表れてしまったような印象もあります。日本の8人に対して、アメリカやドミニカ共和国は言うに及ばず、4強入りしたイタリアやベネズエラも20人超のメジャーリーガーを擁していました。
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宮下 選手の実力だけでなく、環境に困惑することが少ないというのも大きいでしょうね。日本のバッテリーはピッチクロックやピッチコムへの適応にも苦労していたと報道されています。たとえば韓国のKBOは、ピッチクロックを導入したり、ストライクゾーンを自動判定したり、メジャー仕様に近い環境を整えています。そうすると、選手の意識もおそらく変わってくる。ひとつ示唆的なのが、日本が8対6で勝利した韓国戦も、データを見るとハードヒット率は韓国のほうが高かったということ。これもKBOで培われた「強い打球を打つ」という意識の表れではないか、という気もします。
――そういった事実を踏まえると、NPBのガラパゴス的な環境の変化は必須とも思えますね。
宮下 もし現在のような環境が続いて、次回のWBCでも対応できずに負けてしまった場合、「これなら直接MLBにいったほうが適応できるんじゃないか」と考える選手が多く出てきてしまうのではないでしょうか。そういった才能の流出が本格化すると、エンターテインメントのレベルでも、規模でも、いよいよ太刀打ちできなくなる。少なくとも今回のWBCに関しては、選手選考や起用法に関して一定のポリシーがあり、一定の結果も残しました。選手も首脳陣も、できるかぎりのことをやっていたと思います。ただ、ベネズエラの分析力に屈した事実も含めて、本気で優勝を狙ううえで現在のNPBの環境がネックになっている面は否めません。リーグとして、国としての対応で負けてしまったということについては、今後に向けて危機感を抱くべきだと考えています。
<前編とあわせてお読みください>

