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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「非力くん」と呼ばれていたのに…木原龍一の人生を変えた決断「三浦璃来との運命の出会い」「大胸筋がムキムキに」恩師が振り返る葛藤と成長
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph byGetty Images
posted2026/02/17 17:04
20歳、シングル時代の木原龍一(2012年)
チャンピオンになっても貫く「変わらない姿」
早いもので木原が成瀬さんのもとを巣立って10年以上の年月が流れた。三浦とのペアは年々滑りに磨きがかかっている。2022年北京五輪では7位に食い込み、日本ペア史上初の入賞、世界選手権では23、25年と2度世界王者に輝いた。決して派手さはないかもしれないが、静かで揺るぎない強さがあり、もはや存在そのものが物語になっている。
「チャンピオンになってもおごることも偉ぶることもないですし、本当に何も変わらないですね。変わったところといえば、少し英語を話せるようになったことくらい。コツコツ練習する姿勢も変わりませんし、周りへの気遣いも昔のままです」
ペアの選手は30歳を過ぎて成熟する例も多く、木原もまだまだ成長過程ともいえる。成瀬さんは教え子の演技を楽しみにしている反面、ドキドキする思いが先に立ちライブ映像を見ることはあまりないのだという。
「のびのび滑って」恩師の思い
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「いつもそうなんですが、リアルタイムはライブリザルトで追っているんです」
怪我からの復帰や悲願のタイトル獲得……。感情が溢れ出るような場面でよく涙を流す木原に、「もう30歳過ぎたんだから泣くなよ、っていつもいうんです」と冗談交じりに話す。その眼差しには親心がにじむ。
「でも、その感情の起伏が彼の持ち味ですし、演技にも反映されていると思うんです。今回は嬉し涙になることを期待していますが、ここまできたら怪我なくできれば何でもいいです。とにかくのびのびと滑ってくれたら」
今も、そしてこれからも、成瀬さんは教え子を温かい目で見守り続ける。〈前編も公開中です〉

