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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「非力くん」と呼ばれていたのに…木原龍一の人生を変えた決断「三浦璃来との運命の出会い」「大胸筋がムキムキに」恩師が振り返る葛藤と成長
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph byGetty Images
posted2026/02/17 17:04
20歳、シングル時代の木原龍一(2012年)
体幹をコントロールできる力と回転効率を上げる軸の細さが必要なシングルとは異なり、女性をリフトしながら滑る男性スケーターには支える体幹と動く体幹、そして機能的な筋肉が必要だ。
身体づくりや使い方、そして技術面も含め、みっちりと基礎を叩きこまれた。それがあったからこそ今があると成瀬さんはしみじみと語る。
アルバイトでは宿直も…
「デトロイトに行ったばかりの頃は『全然進まない』と言っていましたが、今となってはそれが良かったと思いますね。なかなかできずに苦労したからこそ、悔しさが燃料となり、彼の負けず嫌いに火を灯したんだと思います」
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しかし高橋とは2015年にペアを解消し、その後、組んだパートナーとも2019年4月にペアを解消。次の相手が見つからなければ辞めざるをえない――。木原は引退も覚悟するほど、絶望の淵に立たされた。
「シーズンが終わって帰国するたびにここで練習していたんですが、あのときは怪我もあったので、一人でいる時間が長かったですね。以前は跳べなかったトリプルアクセルを跳んでいて、『シングルで復帰だ』なんて言っていたこともありました。このまま見つからなかったら……と本当にいろいろと迷っている時期だったと思います」
その期間、木原はジュニア時代まで拠点としていた邦和スポーツランドのリンクでアルバイトをしていた。スケート靴の貸し出しやリンクの監視員、ときには宿直もこなした。子どもたちを指導し、ハーネスでつり上げて3回転の難しいジャンプの練習をさせることも。その姿に、成瀬さんは「コーチの素質もある」と感じたという。
三浦璃来との「運命の出会い」
その年の7月に同施設のリンクで行われたトライアウトで現在パートナーを組む三浦璃来と出会った。まさに“運命”だった。
「前からペアを組んでいたんじゃないの? と思うくらいフィットしていたというか、フィーリングがばっちりでしたね」
実は三浦と木原のコーチ、ブルーノ・マルコットはかつて木原がペアを組んでいた高橋成美とマービン・トランの指導をしていた。同ペアは2012年の世界選手権で銅メダルを獲得しており、高橋との信頼関係も深かった。高橋&マービンがペアを解消して木原とペアを組んだことで、高橋のコーチや練習拠点が変更になったことを成瀬さんがブルーノ氏に謝ったときには温かい言葉で労われたという。
「僕はいつでも(高橋を)応援しているから大丈夫だと言ってくださったんです。それ以降、会うたびに(木原の)これが良くなったねとか、龍一頑張ってるねと声をかけてくださって。まさか数年後に龍一たちが彼の指導を受けるとは夢にも思っていませんでした。高橋さんがいたからこそのご縁ですが、運命ですよね」

