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りくりゅうが涙、涙、涙…失意の5位から“史上最大の逆転劇”はなぜ起きたのか? 三浦璃来と木原龍一“じつは9歳差”でも「今回は私がお姉さん」結成6年半分の絆
posted2026/02/17 17:30
SP5位から大逆転での金メダルを獲得したりくりゅう
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
まぎれもない快挙が生まれた。
2月16日、フィギュアスケート・ペアのフリーが行われ、三浦璃来/木原龍一が金メダルを獲得した。
史上最大の逆転劇はなぜ起きた?
フリーの158.13点は世界歴代最高得点。5位であったショートプログラムはトップと6.9点差。その点差をひっくり返しての優勝は、現行の採点システムにおいては史上最大の差の逆転。
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ペアでは日本史上初の五輪表彰台であり、むろん金メダルも日本初。
いくつもの事実が、快挙が快挙であることを物語る。
金メダルが確定したあと、木原は涙が止まらなかった。表彰式を終えても、また涙が流れた。
金メダルの喜びだけではない。どん底からわずか1日で這い上がったからこその、涙だった。
「(昨日から)ずっと泣いていました」(木原)
フリーの6分間練習に姿を現したとき、三浦の笑顔が見えた。そして木原の表情にも笑みが浮かんだ。滑走する2人は、楽しそうだ、と感じさせるような、そして「もう大丈夫」と確信させるような表情をみせていた。「ずっと泣いていた」状態から立ち直ったことを示していたし、立て直せたことに、栄光をつかめた要因があった。
公式練習中も、立ち直っていなかった
木原が大きなダメージを受けた前日のショートプログラム。リフトでバランスを崩すミスがあり、5位にとどまる。ふだんなら出ない失敗だった。演技を終えたあと、木原はうなだれ、うずくまり、しばらく動けなかった。
その後も硬い表情のままの姿に、失意は明らかだった。これまでの大会なら、ミスがあっても次へ向けて前向きな姿勢がうかがえた。それも薄かった。受けた衝撃の大きさがあった。
「終わった時点で、『もう全部終わっちゃったな』と思いました」
そのショックは容易に立ち消えなかった。

