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「まさか外して賞賛されるとは…」日本人がアメフト“全米学生オールスター”に選出の衝撃…ハワイ大・松澤寛政に起こった「予想外の瞬間」とは?
text by

北川直樹Naoki Kitagawa
photograph byハワイ大学提供
posted2026/02/10 06:01
米の大学フットボールで最も優秀なキッカーに贈られる「ルー・グローザ賞」の最終候補にも選出された松澤寛政
「キッカーというポジションはキックが良ければ賞賛されますが、悪ければもう見向きもされない。だからこそ、常に次の一本を決めることだけに集中してやるしかない」
環境が変わろうと、基本は変わらない。それが、松澤の哲学だ。父・徹治さんは、人生の目標を見失っていた20歳の息子に、米国行きのチケットをくれた。「日本の外で起きていることを、自分の目で見てきなさい」。その一言が、松澤の人生を変えた。
貯金が底をついたコミュニティカレッジ時代。電話口で泣いた松澤に、母・裕美さんは言った。
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「お金はどうにかなるものだから、夢を諦めるんじゃなくて自分のやりたいことをやりなさい」
両親は、常に松澤を信じ続けた。「両親の支えは本当に力になりました」。そして今、松澤は言う。
「本当に家族や友達には感謝しています。特に家族は応援して支えてくれたので、これから自分が活躍することで、いろんな世界を見せてあげられたらと思います。今までたくさんの方が応援してくれたことに感謝して、頑張りたいなと思います」
松澤寛政は今、次のステージへと歩みを進めている。
公園でボールを蹴り始めた日から約7年。「YouTube Kicker」と認知された当初から「Tokyo Toe」へとニックネームは変わった。松澤は自分を信じ続け、ここまで幾多の壁を乗り越えてきた。
快挙の連続でも本人は…「まだ、何も達成してないので」
2026年のNFLドラフトは4月末に実施される。松澤が指名されれば、日本人初のNFL選手が誕生することになる。それは、単なる個人の快挙ではない。日本のアメリカンフットボール界全体にとって、歴史的な瞬間となる。だが、これまでの軌跡を振り返り、松澤は冷静に言う。
「まだ、本当に何も達成してないので……」
その目は、確実に前を向いている。次の一本。その先の一本。そうして積み重ねた先に、NFLのフィールドが待っている。ハワイ大で可能性を切り開いてきた日本人のキッカーが、これからどのような歴史を刻むのか。その物語の始まりは、もう目の前まで迫っている。

